得点パターンわずか2種類でゴール量産の45歳Fリーガーが引退 フットサル界稀代のワンタッチゴーラーにその極意を聞いてきた (2ページ目)

  • 河合 拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

【ほとんどがワンタッチゴール】

 もう一つ、金山が得意としていたのが、味方GKからのロングスローを相手ゴール前で触り、コースを変えてゴールに決めるプレーだった。

「僕が常に狙っていたのは、味方のGKがボールをキャッチするだろうなと思った瞬間です。その瞬間に、自分たちの攻撃に向けて動き出すようにしていました。GKのスローから点が取れるなら、それが一番効果的だと思っていたんです。そういう常に目の離せないところがフットサルの魅力だと思うし、常に目の離せない選手でありたいというのは自分のなかにはありました」

 Fリーグが開幕したのは2007年だ。この時、すでに30歳だった金山は、ここから40歳となる2018シーズンまで、実に11シーズンに渡ってこのプレースタイルで二桁のゴールを挙げ続けた。

 歴代で10位となるリーグ通算164得点を挙げているが、「僕のゴールの大部分は、GKのスローからとファー詰め。ほとんどがワンタッチゴールだと思います」と言い、「だから決して自分の力だけじゃないことは、自分のなかでもわかっている。そのパスがあってのゴールだから、『ここにいるから(ボールを)出してほしい』という要求は、すごく話してきました。それは試合に出る人、出ない人、関係なく言っていました」と語った。

 パスの出し手と自分の連携面を突き詰めるのはもちろん重要なことだが、金山がわざわざチーム全員にもそうした話をしてきたのには、別の狙いがあった。

「その(ファー詰めの)景色を共有したかったんです。自分がいるからやるのではなく、自分がいなくなった時にも『でも、そこに行ったら点が入るよね』というイメージを、ボールの出し手が持てるようにしたかった。『こんなに簡単に点を取れる方法があるんだよ』っていうのを伝えていくことができるんじゃないかなと思っていました。

 フットサルは、そこでの得点がすごく多い。でも、ゴール前に入って行く選手がいなければ、そんなイメージも持てない。逆にボールを出せなくても、ゴール前に入って行く選手がいれば、『今出せばゴールになった』と、その人のなかには残っていく」

 というわけで、金山は練習の時から、自分がゴール前に走り込むべき時は、その動きを怠らなかった。そして、ボールが出てこなかった時も、ファー詰めをする自分の姿が見えていたかをパスの出し手に必ず確認したという。

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