U-23日本代表がA代表では実現できていないことを実践し、パリ五輪出場へ一歩前進 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 チームとしてまとまっていたのは、ピッチに立つ選手ばかりではない。

 前半からベンチ脇で声を張り上げていたのは、藤田譲瑠チマである。彼独特の甲高く、よく響く声は、スタンドの記者席にまで聞こえてきた。

 所属する京都サンガF.C.ではキャプテンを務める、川﨑が語る。

「(実際の)キャプテンは目立たなくて、全員がキャプテンというくらいの主体性があったり、全員が声を出したり、全員が自分で何か解決しようとしたりとかしてくれるのが、やっぱりいいチームだと思う」

 これでグループリーグ2連勝となった日本は、最終戦を待たずに決勝トーナメント進出を決めることができた。

 他のグループを含めた今大会全体を見渡しても、日本の実力が頭ひとつ抜けていることは間違いない。技術、戦術はもちろん、全員が90分を通してハードワークできる日本は、プレー強度という点でもアジアのトップレベルにある。

 初戦では退場者を出したという事情があるにしても、先発メンバーを7人も入れ替えてもなお、むしろ初戦を上回る内容の試合を見せたことは、他の出場国に脅威を与えるには十分なものだったはずだ。

 次のグループリーグ最終戦は、韓国との"首位突破決定戦"。この先に決勝トーナメントの最大3試合が控えていることを見据えると、どこまでガチンコ勝負になるのかはわからないが、韓国にとっても、誰が出てくるかわからず、また、誰が出てきたところで難敵となる日本が、脅威の存在となるだろう。

 参考までに記しておけば、韓国が初戦から第2戦にかけて入れ替えた先発メンバーは3人のみである。

 早くもグループリーグ突破を決めた2連勝は、このチームの、というより、日本サッカー全体の奥深さや層の厚さを、改めてアジア各国に見せつけるものではなかったか。

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