日本代表はアジアカップで「受けて立つ強さはなかった」と福田正博 ポイントはサイドアタッカー (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【アジアの戦いにモチベーションを上げられるか】

 最後に、アジアカップは日本の選手個々がレベルアップを遂げたことによるマネジメントの難しさが見えた大会であったと思う。

 大会後に冨安健洋が「熱量が他国に比べて足りなかった」と発言していた。日本の選手の置かれた状況を踏まえれば、そうなるのも致し方ない部分はある。遠藤航のようにプレミアリーグの優勝争いをするリバプールでスタメンを張る選手をはじめ、日本代表のほとんどの選手は欧州5大リーグでプレーし、さらなるステップアップを目指している。

 そうしたなかで選手たちは、アジアでの戦いのモチベーションをどこに見出すのか。

 他国には日本に勝利して涙する選手がいたのに対し、日本は悔し涙を流す選手はいなかったことによく表われていたと思う。

「モチベーションが低いから負けたんだ!」と言う気はない。アジアのレベルは決して低くはないものの、アジアカップが欧州におけるEUROのような存在になるにはまだ時間はかかる。日本の選手のレベルが上がり、日々戦うステージが上がっているからこそ、こうした問題は今後もアジアを戦う日本にはつきまとう。

 選手のモチベーション管理は、監督だけでどうにかなるものではないだけに、日本サッカー界全体で対策や取り組みを考えていく必要があるだろう。

 このアジアカップは、日本代表にとって考えさせられる課題がたくさん浮き彫りになった。そのなかで願うとしたら、2年後のワールドカップを終えた時に「あのアジアカップでの負けがあったから、この成績が残せた」とポジティブに言えるような成長を、選手たちと代表チームに遂げていってもらいたい。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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