なでしこジャパンに変化 キャプテン熊谷紗希が築き上げてきた「団結力」が花開き始めた (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

【熊谷紗希か築き上げてきたこと】

「ここまで散々やられてきて、初戦の大切さは伝えてきたつもりです」ーー試合内容がどうであれ、欲しいのは結果だと明言し、仲間を鼓舞したのはチームで唯一ワールドカップ4回目の出場となるキャプテンの熊谷だ。20歳でワールドカップ優勝を経験し、チームの世代交代が進みながらも日本の最終ラインの要としてピッチに立ち続けてきた。

2011年ワールドカップ優勝後から活躍の場をドイツへ移し、早い段階からスキルアップと、世界レベルのサッカーを日常に取り入れることを選択した。以降、1.FFCフランクフルトから、当時世界トップと言われていたオリンピック・リヨン(フランス)へ渡り、女子チャンピオンズリーグ5連覇に貢献するなど頂点を極めるチームの主力へと成長していった。今オフには、なでしこジャパンでもCBとしてコンビを組んできた南萌華が所属するASローマ(イタリア)への移籍が発表された。文句のつけようのないほど、"世界"を知り尽くしている日本では唯一無二の選手である。

 2017年から7年間、熊谷の左腕にはキャプテンマークが巻かれている。澤穂希、宮間あやと2代続いた偉大なキャプテンのもとでプレーしてきた熊谷にとっては、比べられる対象が「とてつもなく大きかった。2人ともついていきたいと思わせてくれるキャプテンだったから、私もそうなりたいとは思っていました」と振り返る。

自分にできるキャプテンのスタイルを築こうと、周りの意見を取り込み、若い選手ともコミュニケーションを欠かさない。それでも、若い選手たちにとって代表135キャップ(W杯開幕前の時点)を数える熊谷は"憧れの存在"である。うまく中堅選手を介しながら、チーム作りをしていても、ズバ抜けたその実績がゆえに、若い世代とはどこかしら溝を埋めきれないものもあった。

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