U-20日本代表がまさかの逆転負け「そこが悔やまれる」と松木玖生が語った最大の敗因 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Marcelo Endelli - FIFA/FIFA via Getty Images

 後半に入っても、反撃姿勢を強めるイスラエルに日本は落ち着いて対応。ピンチらしいピンチもなく、試合を進めることができていた。

 しかも後半68分には、イスラエルにイエローカード2枚による退場者が出たことで、さらに戦況は日本優位に傾いた。この時点では、同時刻キックオフの試合でグループ1位のコロンビアがセネガルに0-1でリードされていたため、日本がもう1点加えることができれば、逆転首位通過も見えてこようか、という状況にまでなっていた。

 ところが、日本優位の試合展開が、逆にイスラエルを奮い立たせる一方で、日本を受け身に回らせてしまったのかもしれない。

 松木が悔しさをかみ殺すように語る。

「相手はひとり少ない状況だったが、すごく勢いを持ってきた。自分たちはビルドアップのところで焦ってしまって、(前がかりになった)相手の裏をつくことができず、相手のプレスが効いていたので、少しビビってしまったかなという印象がある」

 キャプテンが感じていた印象が実際のプレーとなってピッチ上に表れたのは、後半76分のことだ。

「勝っている状況で、自分のミスで(与えたFKから)失点してしまった。あれは本当にいらないプレーだったし、相手が(前がかりに)きていたので、そこを(裏を取って)ひっくり返すようなプレーをしないといけなかった」

 MF佐野航大の言葉どおり、直接的には佐野のミスパスでボールを失ったことが相手のFKにつながったとはいえ、それを誘発したのはチーム全体の弱気な姿勢である。

 冨樫監督が語気を強める。

「相手の退場までは非常に我慢強くやっていたと思うが、せっかく(イスラエルが)10人になったのに、1失点目のスタートはたぶん(マイボールの)FKをうしろに下げたところから(ミスが出てボールロスト)だったと思う。そういうところがサッカーの勝敗をどっちに転ばすかの機微だと思うし、私も含めて、そういうところが非常に拙いなと思う」

 結果的に、日本は今大会の3試合すべてで前半のうちに先制しながら、勝ったのは1試合だけ。残り2試合は後半に2点を失い、逆転負けを喫した。唯一逃げきって勝利したセネガル戦にしても、終盤は引いて守ることしかできず、ただただ耐える時間を過ごしている。

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