【なでしこ】近賀ゆかり「W杯連覇の鍵はズバリ距離感!」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

――佐々木則夫監督はW杯連覇を目標に掲げています。その目標を達成することと、みんなが悔いを残さないようなチームにするためには、本大会までのあと半年、何が一番重要になってくると思いますか?

近賀 距離感!攻撃でも守備でも結構それ次第だと思います。誰でもその距離感を感じられたら、強いチームを作れるはず。連覇の道が見えてくるかもしれないですね。結局、そこが日本人の良さだし、悪さというか弱さも消してくれるから。海外では見ることのない日本の特長だと思う。みんなの中でもこの距離感の話は出るんですよね。

――さっき出たカナダ初戦の1点目もいい距離感から生まれましたもんね。

近賀 はい。その距離感の中で、なでしこって微妙に動き直しをいっぱいしてるんです。

――その動き直しはなでしこの文化という気がしますね。

近賀 絶対そうだと思います。これこそ、日本の強みにしないといけない。ボランチとかをやっていて、パスコースを切られたとき、ちょっと動き直してくれたらパスが出せるのにってシーンがいっぱいあるんです。それがスムーズに出せるか出せないかで大きく変わってくる。若い選手はひょっとしたらその良さというか、その世界を知らないのかもしれないですね。完全なパサーみたいな若い選手はあまりいないじゃないですか。

 それこそアヤ(宮間)とかシノも出し手になれるし、澤(穂希)さんも、ミズホ(阪口)もそうじゃないですか。そういうパサーの人は受け手もできる人が多い。出したいところがわかるから受けたいところにいけるというか。だからクロスボールに入っていける人も多いですよね。

――突然ですが、W杯の対戦が決まりましたね。もう見ましたか?

近賀 はい。スイス、エクアドル、カメルーンでしたよね。どうですか?と聞かれてもわからな過ぎて......(苦笑)。自分たちもそうだったんですけど、初出場となると相手のスタイルをすごく見るだろうし、自分たちがどうしなきゃいけないかじゃなくて、相手をどうするかってところに力を注ぐんですよ。今回、日本は結構研究されちゃっているから、ブロック引かれて守られたりしたら厄介だなって思います。スイスとかやりそう(笑)。カメルーンはそれをやってきても多分続かないだろうから、そこを狙うとか? 我慢できればチャンスはあるかな、とか考えちゃいますね。エクアドルは......読めない(笑)。テクニックはある感じ。あくまでもイメージの話ですけどね。

――アメリカも結構大変な組で、スウェーデン、オーストラリア、ナイジェリアと同組です。

近賀 うわ......それ、結構大変ですね。

――ちなみに、イングランドはフランス、コロンビア、メキシコと同組。

近賀 いや、それもキツイですね。だからか!アーセナルのチームメイトに「日本はイージーだな!」って言われたんです(笑)。でも、私は難しいと思いますよ。アジアで戦うときと似てるかも。タイプは違うけど、自分たちのことはある程度研究されていて、なおかつ周りからは格下だって言われるチームと戦って勝たなきゃいけない。本当にこういうの私たち慣れてないですから。絶対王者じゃないですからね(笑)。そういうのを求められても困りますっていうのもあります。それこそドイツW杯のときは、ドイツの試合もアメリカの試合も映像を本当にいっぱい見た。それでこの相手に対して自分たちはどうしたらいいとかそういうのをすごく話し合ったんです。研究することには慣れいても、研究されて戦うのに慣れてない。カナダW杯は難しいし、本当に真価が問われる大会になると思います。

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