【なでしこ】強豪カナダに圧勝。躍動した新戦力の二人 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 単純なサイド攻撃では世界の壁を崩すことができない。しかし、なでしこのサイド攻撃は、この2得点で表現されたように、ショートカウンターからのテンポを生み出し、SBの攻撃参加からのアーリークロス、さらにはサイドに流れた宮間からのダイレクトクロスを用いたとき、得点力は一気に上がる。運動量と、より一層のイメージの共有が必要になるが、このバリエーションが左右両サイドで増えれば、相手守備陣を翻弄できる。ここから積み上げを期待したいアプローチのひとつだ。

 来年のワールドカップの舞台であるカナダで確認しておきたかったのは、プレイだけではない。本格的に使用される人工芝のピッチも重要な確認事項だったが、選手たちは口をそろえて、「違和感はない」「日本みたいなプレイスタイルには向いてる」「ボールが走りやすい」と好感触。パスが主流のなでしこのスタイルにはフィットしそうだ。

 問題は足への負担と、スライディングなどの感覚を調整すること。連戦となるワールドカップだが、対応は難しくないと選手たちは気にしていない様子だった。

 まずは初戦でもろもろの確認をし、修正点をあぶりだすことには成功した。世界制覇を果たして3年。このカナダ遠征ではそれぞれが積み上げてきた個の力が生み出す感覚を感じ取ることが最大のテーマだ。今年はアジアカップ、アジア大会など目白押しではあったが、あくまでも準備期間のようなもの。このカナダ遠征こそ、ワールドカップへの本格的なチーム構成のスタートといえる。初戦メンバーは各ポジションで積極的なトライから明確な課題を得ている。

 第2戦は「メンバーを一掃する」とした佐々木監督。初戦をベンチで見守った選手たちの登場となる。個のアピールはもとより、どんなチャレンジを見せ、どんな流れを表現するのか、注目のカナダとの第2戦は28日(日本時間29日11時)、場所をバンクーバーに移して行なわれる。

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