【なでしこ】強豪カナダに圧勝。躍動した新戦力の二人 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 しかし、開始直後は緊張した面持ちだった。「ビビッてました(笑)。でも、みんなが声をかけてくれて、自然に試合に入り込めた」(川村)。

 後半には代表初ゴールを決めるなど、攻守に渡って奮闘を見せた。そして危険なシンクレアの突破を体を投げ出して確実に潰していったのは熊谷だ。

「なでしこは8か月ぶり。それぞれ積み上げてここに来てるはずなので、もう一度確認をしようと守備面でいろいろ話し合いました」(熊谷)。

 まずは、練習で実行し、修正をしていく。その成果は初戦でハッキリと表れた。

「リスクをおかしてでも、チャレンジすべきところはしっかりとできた。優理(川村)とも全く違和感は感じなかった」と、新コンビにも手応えを掴んでいた。2010年以降は岩清水梓(日テレ・ベレーザ)と熊谷の二人が不動のCBとして代表に定着していたが、川村がこの主力メンバーの中で結果を出したことで、レギュラーレベルでの競争が生まれたことは大いなる収穫と言えるだろう。

 攻撃面では、戦略を練ることはせず、「お互いの個性で動く」(大儀見)ことを大事にした。その最たるものが前半9分の大儀見の先制点だ。安藤が奪ったボールを大野にスピーディなコンビネーションパスでつなぎ、最後は大儀見がゴール。本格的に感覚を合わせ始めて4日目ながら、"なでしこ"らしいゴールを描いてみせた。

 そしてもうひとつ、それが表現されていた得点シーンが3点目だ。途中出場で左SBに入った有吉佐織(日テレ・ベレーザ)が、アジア大会でつかんだビルドアップの感覚を、このメンバーの中でも研ぎ澄ます。

 日本の時間帯が続いていた後半35分、有吉が左サイドを駆け上がり、鋭いクロスを上げる。それを見越して大儀見はDFを引き連れて頭から飛び込んだ。そのタイミングに思わずGKが大儀見に反応。フリーとなった川澄が難なく沈めた。

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