「オールスター戦のようだった」アギーレJの初戦 (2ページ目)

  • photo by Sueishi Naoyoshi

 逆にウルグアイは、すでに完成されているチーム。ブラジルW杯からメンバーが大幅に変わることもなく、そのサッカーは熟成されていた。その分、次の展開への予測や、セカンドボールに対する反応が、日本よりも圧倒的に速かった。守備における密集の速さ、ボールを持った味方へのサポート、さらにサイドに展開してからのオーバーラップなど、あらゆる面で日本を上回っていた。局面において、数的同数、数的優位を作る判断も早く、非常にスムーズだった。

 結果、日本はボールをタテやサイドに入れても、相手の反応の速さに屈して、なかなか前に行けなかった。味方のサポートもなく、ボールを受けた選手は常に振り返って後方にパスを戻すしかなかった。それでは、さすがに攻撃のスピードは上がらない。前半37分に唯一、中盤のアンカーの位置に入っていた森重真人が相手ボールを奪ったあと、DF坂井達弥からMF田中順也、そこから森重、FW岡崎慎司、再び田中とリズムよくボールをつないで、スピーディーな仕掛けを見せたが、チーム全体に「攻撃のスイッチが入ったな」と感じた展開はその1回だけ。あとは、出し手と受け手の関係だけの淡白な攻撃が目立った。長めのボールを多めに使おうという意識もあったようだが、そのボールの精度が今ひとつで、高さのあるウルグアイの守備を崩すほどの効果はなかった。

 そうした状況を打破し、攻撃をうまく機能させるためには、やはり中盤の3人、アンカーの森重と、その前に位置する田中と細貝萌の働きがポイントになる。だが、この試合では3人が連係していい形を生み出すことはできなかった。森重とウルグアイのボランチ、アレバロ・リオスと比べても、その仕事の質は明らかに違った。アレバロ・リオスのほうが、有効なポジションを取って、効果的なタイミングでボールに触っていた。森重は相手の攻撃を恐れて下がってしまうことが多かったが、アレバロ・リオスが最終ラインに吸収されるようなことはまったくなかった。

 ただそれは、仕方がないことでもある。アレバロ・リオスは長年ウルグアイ代表のボランチを務めてきたが、森重は本来センターバックの選手。本職ではないアンカーというポジションでは、普段と見る景色が異なるし、次のプレイに対する予測も違ってくる。そこで、完璧な仕事をこなすには、さすがに無理があった。

 そんな森重に限らず、田中や細貝、前線の右サイドに入った本田圭佑や、途中出場でサイドハーフを務めた柿谷曜一朗らも含めて、この日は多くの選手が"適材適所"と言えるだけのプレイができていなかったように思う。そこにいなければいけない選手がいなかったり、何かが起きそうなエリアに誰も入ってきていなかったり、ということが多々見られた。そのため、川崎フロンターレのFW小林悠がいたら面白いだろうな、とか、今回負傷で参加できなかったFW原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)や、ガンバ大阪のFW宇佐美貴史のようにドリブルで仕掛けられる選手がサイドにいたら、いい形が作れるんじゃないかな、と想像してしまうことがあった。

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