篠塚和典と元木大介が対談で語った、巨人・阿部慎之助監督の指導者像と野手陣のポジション争い (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【期待の若手と、重要な「ベテランの扱い」】

――今季の野手陣についてはいかがですか?

篠塚 いろいろな選手を試していますが、誰を使うかはだいたい決めているはすです。それはピッチャー陣もそうでしょう。なので、そういった選手たちが成績を残していってくれないといけません。

 門脇にショートを任せる方針ですが、打たないとレギュラーにはなれません。彼の場合は守備がしっかりしているので、「バッティングは少し我慢しよう」という考えもあるかもしれないですけどね。何番を任せるのかもはっきりしていないのでしょうが、任された打順でそれなりの成績を残さないといけない。

元木 ただ、門脇は体が丈夫ですよね。高校1年から大学4年まで公式戦にフルイニング出場した、と聞いて「プロではどうかな」と思っていたのですが、評判どおりに体は強かった。それと、1年目から専属のトレーナーをつけていましたし、(昨年12月に)寮を出たあとはすぐに専属の調理師をつけた。プロ意識が高いですよ。

 シノさんや僕らの時代にはあり得ないことです。すべて野球を中心に考えて取り組んでいる選手なので、僕は心配していません。ただ、シノさんが言うように打つほうで結果を残せるかですね。和真、尚輝、門脇、勇人の内野陣で守備は大丈夫だと思いますが、昨季の尚輝はバッティングの状態が悪くて外されたりしていたので。

 たとえば、尚輝と門脇がバッティングの状態がよくないとして、ふたりとも我慢して使うとなると、打線としてかなりきついと思うんです。1、2番を打つような選手たちなので、我慢して使うとなるとチームが回らない。せめて、どちらかひとりでも安定してもらわないと。

――内野の布陣が固まっている印象がある一方で、外野陣は激しい競争が続いています。

篠塚 松原聖弥の状態が去年よりはいいですし、秋広、オコエ瑠偉、萩尾匡也、ルーキーの佐々木、浅野翔吾、新外国人の(ルーグネッド・)オドーアもいますね。固定するまではちょっと時間がかかるかもしれませんが、それほど心配ないんじゃないですか。オドーアは未知数な部分が多いですが、印象としてはレベルスイングをする感じ。大振りするタイプではなく、コンタクトがよさそうです。

元木 丸佳浩もいますからね。彼は昨季に数字を落としましたが、動けなくなったわけではありません。若い選手たちが打てばいいのですが、打てなかったらベテランの丸たちの力がやっぱり必要になってくると思いますね。内野陣にも言えることなのですが、監督がベテランをうまく扱わないと、チームがバラバラになっていく可能性があります。

「若い選手が出てきたから」とベテランをパッと突き放すのではなく、コミュニケーションを取りながらフォローしていくべきです。「勝負の世界だから仕方がない」という考え方もあるでしょうが、若い選手はベテランを見ているので。ベテランが気持ちよくベンチにいないと、チームがうまく回らないんじゃないかと思います。

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