オリックス「西川龍馬は5番がいい」と星野伸之が野手陣を分析 今季の打順やポジションはより「変幻自在」 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――簡単に打席を終わらせない、粘り強いバッターが多いですね。

星野 3連覇の最初の年(2021年)は、主に1番を任されていた福田周平が中嶋聡監督から出塁率についてよく言われていましたが、特に交流戦で出塁率5割と見事に期待に応えました(シーズンの出塁率は.354)。どの打席でもよく粘っていましたし、トップバッターの役割を果たしていましたね。シーズンが終わった時は「すごく大変でした」と言っていましたが。

 ベテランのピッチャーになるほど、粘るバッターは嫌なんです。若いピッチャーは粘られても一生懸命投げますけど、ベテランは早く打ち取ってベンチへ戻りたいものです(笑)。オリックスは打てない時でも、打てないなりに粘れるので本当に嫌な打線だと思いますよ。

――とはいえ、1番にはさまざまなタイプのバッターを起用していますよね。

星野 そうですね。福田みたいに粘れるバッターのほかにも、打線に活気がない時などは積極的に打っていくバッターを1番に入れることもあります。2022年の日本シリーズで、太田椋を2試合連続で1番スタメンで起用したことがありましたが、その第7戦でプレーボール直後の初球を打って先頭打者本塁打を放つなど、"起爆剤"としての役割を見事に果たしてくれました。

 今年もオープン戦で、西川を1番に起用した次の日に福田を起用したりしていて、いろいろな含みを持たせていますよね。複数のポジションや打順で選手が力を発揮してくれるのは、常日頃の練習からその準備をしているからです。今回キャンプを視察して、そのことをあらためて感じました。

【プロフィール】

星野伸之(ほしの・のぶゆき)

1983年、旭川工業高校からドラフト5位で阪急ブレーブスに入団。1987年にリーグ1位の6完封を記録して11勝を挙げる活躍。以降1997年まで11年連続で2桁勝利を挙げ、1995年、96年のリーグ制覇にエースとして大きく貢献。2000年にFA権を行使して阪神タイガースに移籍。通算勝利数は176勝、2000三振を奪っている。2002年に現役を引退し、2006年から09年まで阪神の二軍投手コーチを務め、2010年から17年までオリックスで投手コーチを務めた。2018年からは野球解説者などで活躍している。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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