尾花高夫は斉藤和巳のピッチングを見て「コイツをエースにできなかったら指導者失格」と惚れ込んだ (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 最後の5番目の投手は誰ですか。

尾花 渡辺正和(ダイエー、ソフトバンク)です。ダイエーのフロントから「渡辺は99年限りで戦力外」の連絡がきました。でも私は彼のピッチングを見ていなかったので、「ちょっと待っていただけませんか」とお願いしました。それで二軍の試合を視察すると、シュートが得意な左投手なのに、その球を見せ球にして、あまり得意でないスライダーばかり投げさせていました。配球を変えればまだまだ使えると思い、「もう1年だけ残していただけませんか」と頼み込みました。

 渡辺本人には「シュートは全部ストライクゾーンに投げなさい。一度クビを宣告されたから身だから、怖いものはないだろう」とアドバイスし、とにかく投げさせました。2000年から4年間で、じつに211試合に登板しました。現在は福岡大で教壇に立ち、「スポーツ科学」を教えているそうです。プロ野球の経験を生かして、頑張ってほしいですね。

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尾花高夫(おばな・たかお)/1957年8月7日、和歌山県生まれ。PL学園から新日鉄堺を経て、77年のドラフトでヤクルトから4位指名を受け入団。83年に11勝をマークすると、84年は自己最多の14勝を挙げた。後年は半月板損傷などケガに悩まされ、91年に現役を引退。引退後は投手コーチ、監督としてさまざまな球団を渡り歩き、多くの一流投手を育てた。23年2月から鹿島学園高(茨城)のコーチとして指導を行なっている。

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