斎藤佑樹のプロ3年目、試行錯誤のなか巡ってきた一軍登板 復活への課題を見つけた中嶋聡のアドバイス (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 だからこそ、力を抜くことを前提に組み立てたフォームで投げなければ、と思っていました。真っすぐで三振をとろうということを意識しすぎない、コントロールも意識しすぎない、こういうフォームで投げようということも意識しない。とにかく、力を抜くことだけ。僕はそんなふうに考えて、10月の一軍のマウンドに上がっていました。

【初球に想定外の141キロ】

 久しぶり(335日ぶり)に一軍のバッターに投げました。1番は平野(恵一)さんでしたが、その初球、141キロが出たんです。アドレナリンが出たのかもしれませんし、力んでいるつもりはなくても力んでいたのかもしれません。

 ファームで投げる時のように力を抜いて投げることを目指していましたが、それでは力のあるボールが投げられないと思っちゃって、どうしても力が入ってしまいます。栗山監督は怖さを拭い去るために力んで投げることが復帰へのスタート地点だと言ってくれましたが、僕は力を抜かなきゃと思っていましたから、正直、あの141キロには戸惑いました。

 もともと力を入れずに投げたら強いボールは投げられないという意識が染みついていますから、つい力を入れて投げてしまうクセがまた出てしまったのかと思いました。力が入るとフォームがブレるし、肩に負担もかかります。僕はこのあともずっと、脱力して強いボールを投げる、という永遠のテーマと向き合っていたような気がします。

 この時のバファローズとの試合は5回途中、78球を投げて6失点で交代となりました。久しぶりでしたから緊張はしましたが、いい感じで試合に入れましたし、肩にも痛みは感じませんでした。

 でもコントロールが定まらず、フォアボール、デッドボールを与えたことがことごとく失点につながってしまいました。長打は打たれませんでしたが、高めに浮くボールが多く、ヒットとフォアボールの連鎖でランナーを溜めてタイムリーを打たれる、という悪循環です。

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