なぜ度会隆輝は3年前に語った「ドラフト1位でプロに行く」目標を実現できたのか (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

 そう言って、度会は屈託のない笑顔を見せた。一般社会と接することで、野球選手としてはもちろん、人間としても成長できたという。

「ENEOSの社員という立場で野球をやらせてもらいましたが、並行して仕事もやっていました。そのなかで何十歳も上の先輩や上司から指導されることで、社会のしきたりというか、仕事をする責任や使命の部分を知ることができましたし、一社会人としても成長できたと思います。大学に進学していたら、もちろん大学生なりの成長はしていたと思いますが、社会人として経験した3年間というのは得るものが多かったと感じているので、自分としては社会人野球に行って本当によかったなって思っているんです」

 明るく元気な度会であるが、会話の合間に相手を慮るような雰囲気を醸し出す。自分の意見をはっきりと伝えつつも、空気を壊さない絶妙なさじ加減。この数年、年長者のなかで仕事や野球をやってきたせいか、21歳という年齢のわりにはインタビューを受ける姿勢は堂々として落ち着いている。

【心の底から野球を楽しむ】

 しかしグラウンドに立てば、他の追従を許さない"陽キャラ"である。11月25日に行なわれた『ファンフェスティバル 2023』や、12月3日に開催された『YOKOHAMA STADIUM 45th DREAM MATCH』では、プレーはもちろんのこと、マイクパフォーマンスも堂々たるもので、横浜スタジアムに駆けつけたファンから喝采を浴びた。

 3年前にドラフトで指名漏れした時は、悔しさに暮れたが、それ以降の度会は、とにかくパワフルに太陽のような姿を見せ続けている。苦しさはなるべく表に出さないタイプですかと尋ねると、度会はかぶりを振った。

「いや、自分としてはあえて明るくしようと努めているわけじゃないんです。これが自分のありのままですし、普通なんです。基本的に思っているのは、何事も心から楽しんでいる時って、結果が出るということなんです。逆に気負ったり、自分が打たなきゃと力が入ったりするとうまくいかないことが多い。だから、自然な自分でいるのがいいのかなって」

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