近鉄最後の優勝戦士、北川博敏と交代して代打逆転サヨナラ満塁ホームランを見届けた男の今 古久保健二は日本→韓国→台湾で指導者になった (5ページ目)
そこでリーグ当局は、低反発球に切り替えたが、それによって台湾野球の質にも変化が出てきたと古久保は言う。
「4年前は、右バッターが平気でライト中段までもっていっていましたから。内野を転がる打球も速くて、野手が追いつかない。そりゃ打率は上がりますよね。でもボールが変わって、細かい野球ができるようになってきました。それにピッチャーの質も上がってきました。多少コースが甘くなってもボールが飛ばないから、大胆に攻めるようになってきました」
自分の息子のような選手たちを相手に過ごす毎日。若者というのは、国は違っても気質は大きく変わらない。SNSが発達した今、日本と同じく「やらかして」しまう選手も少なくない。
「こちらはファンとの距離が近いんですよ。選手なんて、普通に接し、ファンの方と食事に行ったりする。そういう環境だから、スキャンダルもちょくちょくあるみたいですね。でもね、お互い独身だったら問題ないでしょう。社会のルールさえ守っていれば」
精悍な顔つきは現役時代と変わらないが、短く刈り上げた短髪はすっかり白くなっている。そして来季からは監督としてチームの指揮を執ることになった。どんなチームをつくり上げていくのか、楽しみにしたい。
古久保健二(ふるくぼ・けんじ)/1964年6月23日、大阪府生まれ。大成高から82年のドラフトで近鉄から6位指名を受け入団。山下和彦、光山英和と正捕手争いを繰り広げ、95年には自己最多の113試合に出場。02年に現役を引退し、その後は近鉄、中日、オリックスなどでコーチを歴任。19年に台湾プロ野球の富邦ガーディアンズのコーチに就任。22年から楽天モンキーズのヘッドコーチとなり、24年から監督して指揮を執ることになった
プロフィール
阿佐 智 (あさ・さとし)
これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。
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