「現役ドラフト」でチャンスが広がりそうなセ・リーグの選手を高木豊が推測 阪神と巨人のドラ1投手も候補か!? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【巨人の11勝左腕はパ・リーグのほうがチャンス?】

――巨人はいかがでしょうか?

高木 2021年に11勝を挙げた、2018年のドラ1・髙橋優貴(たかはし・ゆうき/26歳)はパ・リーグのチームに行ったら勝てるかもしれません。楽天の辛島航のような軟投派の左腕だと思いますし、ロッテなどはいいんじゃないですか。今年は0勝1敗でしたが、ZOZOマリンスタジアムの風を利用すると髙橋の変化球が活きそうな気はします。

 野手で挙げるとすれば、若林晃弘(わかばやし・あきひろ/30歳)は可能性があると思います。内野、外野とも守れるスイッチヒッターですが、巨人は秋広優人が育ってきましたし、ルーキーの門脇誠も攻守で及第点の活躍を見せ、守るポジションがあまり空いていない状況です(今年は21試合に出場、打率.125)。試合に出られたとしても基本は控えでしょうし、そう考えると他のチームのほうが活躍の場があると思います。

――以前より、高木さんが能力を評価されている松原聖弥(まつばら・せいや/28歳)選手はいかがでしょうか? 今年は21試合の出場で0安打でした。

高木 松原はまだ他球団の評価も高いと思うので、現役ドラフト候補よりもトレード要員として考えたほうが巨人にとってはいいかなと。現役ドラフトだと、「松原を出したけど、うちが獲れた選手は......」といったことになりかねません。いずれにせよ、まだ若いですし、走攻守で光るものがある選手なので再起してほしいですね。

――ヤクルトで候補になりそうな選手は?

高木 太田賢吾(おおた・けんご/26歳)の可能性はあるかなと。ヤクルトは長岡秀樹や武岡龍世など左打ちの内野手が育ってきています。なので、同じく左打ちの太田を出して、不足しているピッチャーを獲りたいと思うかもしれません。ヤクルトはピッチャー陣が少し弱いので、ピッチャーを出すことは考えにくい。そうなると太田あたりが候補になりうるでしょうね。

――昨年の現役ドラフトで獲得した細川選手が活躍し、同制度の恩恵を受けた中日。今年はどの選手が候補になりそうですか?

高木 野手は、育てている最中なのでちょっと出せないですね。堂上直倫や福田永将ら内野手のベテラン組も今季限りで引退ですし。そう考えるとピッチャーになると思うのですが、福谷浩司(ふくたに・こうじ/32歳)が候補に入ってくるかなと。鈴木博志の可能性もなくはないと思いますが、年齢も26歳で"化ける"可能性が残されているという点で、福谷のほうが有力かなと。先発もリリーフも経験しているピッチャーなので、まだ福谷にも活躍の場はあると思います。

(パ・リーグ編:変則ピッチャーや貴重なスイッチヒッターの名も>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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