ドラフト注目投手を名物記者が語り合う「ロマンの塊」「2ケタ狙える逸材」は誰? (2ページ目)

  • 菊地高弘●構成 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

菊地 左が細野なら、右は常廣。常廣羽也斗(青山学院大)はいかがですか?

加藤 美しい。アート。美じゃないですか。山口百恵じゃないけど、『美・サイレント』(1979年3月にリリースされた山口百恵の25枚目のシングル)。ピッチャーらしいピッチャーで、見とれちゃうんですよ。曲を奏でるようなピッチング姿で、あの誰も勝てなかった明治大を大学選手権決勝で10三振を奪って完封してしまう。間違いなく世代最強と言っていいと思います。

菊地 手前味噌ながら、僕は去年の秋くらいから「1年後のドラフトは結果的に常廣が一番の評価を受けているのではないか?」と書いてきました(笑)。

加藤 読みました、読みましたよ!

菊地 その前提で声を大にして言いたいのは、今年の常廣は決して調子がよくないということです。

加藤 おぉっ! そうなの?

菊地 本人も認めていたんですが、ストレートの走りだけなら去年のほうがよかったと。今年は満足のいくストレートが1試合あたり5〜10球くらいしかないということです。そんななか、大学選手権や大学日本代表で結果を残した。青山学院大の安藤寧則監督は「ここぞの試合での強さを持っている」と言っていました。

加藤 人間的にも自分の世界観を持っていますよね。

菊地 そうなんです。この世をはかなむようなコメントをするんですが、僕はそれが大好きで(笑)。プロに入ったら「塩対応」と書かれてしまうかもしれませんが、その味を堪能にしてもらいたいんですよね。とても進学校の大分舞鶴高出身とは思えない、感覚的なコメントをします。

加藤 常廣ワールド、クセになりますよね。

【1年目から2ケタ勝利を狙える投手は?】

菊地 対照的に青山学院大の同僚の下村海翔は九州国際大付出身で野球のエリートコースを歩んでいますが、理知的なコメントができるピッチャーです。

加藤 そうそう。来年の今頃、「結果的に一番活躍したのは下村だったね」と言われているかもしれませんよね。

菊地 即戦力度で言えば、下村が東都の逸材のなかで一番かもしれない。

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