「藤川球児のフォークも余裕をもって見逃せた」清水直行が語る2005年日本シリーズでロッテが阪神との第3戦にも大勝できた理由 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

【第1戦に清水が先発した理由】

――第3戦の試合についてですが、ロッテが2回表にベニー・アグバヤニの犠牲フライで先制。2回裏、関本賢太郎さんの内野ゴロの間にランナーが還ってすぐに同点とされましたが、4回表に今江敏晃さんの内野安打などで2点を勝ち越しました。

清水 第1戦、第2戦に続き、この試合でも先制点が取れたのはよかったですし、同点にされても早い段階で勝ち越し、主導権を渡しませんでした。

 先発の小林宏之も6回3安打1失点と好投してくれましたし、足のあるトップバッターの赤星憲広を出塁させませんでした。4番の金本知憲さんを引き続き無安打(第1戦から第3戦まで10打数0安打)に抑えたことも大きかったですね。

――やはり赤星さん、金本さんあたりを徹底して抑えることがポイントだった?

清水 もちろんです。チームとしてはまず、赤星の足を封じなきゃいけない。僕は第1戦の第1打席で赤星を四球で出してしまいましたが、いかに出塁させないようにするかを考えていました。次に、この年は5番を打っていた今岡真訪(当時の登録名は今岡誠)さんがとんでもない打点(歴代3位の147打点)をマークしていたので、今岡さんの前にランナーを置かないようにするということ。

 それと、3番の(アンディ・)シーツと4番の金本さんです。2人とも脅威でしたし、1番から6番ぐらいまで、ほとんどの選手をマークしていました。なので、第1戦で先発した僕の仕事は、徹底してインサイドを突いて意識させ、後のピッチャーのピッチングに活かしてもらうことでした。

――関本さんは、「清水さんが1戦目に先発されたというのは、ロッテとして非常に大きかったんじゃないか」と言っていました。「コントロールがいいので、いろいろなことを試せたんじゃないか」と。

清水 自分はコントロールには自信があったので、「このコースに投げたらどんな反応するのか? このコースだったらどうだろう?」と試すことができましたし、ミーティングでインサイドにいってくれと言われれば、きっちり投げ込めました。この年の勝ち頭は渡辺俊介(2005年は15勝4敗)でしたが、彼はアンダースローで投げ方も攻め方も球種も球の軌道も特殊なタイプなので、他のピッチャーの参考にはならないんです。

 自分のようなオーソドックスなピッチャーが先に投げれば、球が強いとか弱いとかは別にして、後から投げるピッチャーの参考になりますから。3戦目に先発した宏之なんかは自分と同じ右投げでタイプが近いですし、参考になったんじゃないかなと。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る