指揮官の「予言」どおりに元オリックスの小川博文はプロ入り「すべて言われたとおりで恐ろしい」 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Sankei Visual

「予選は相当ピリピリした雰囲気になるんです。なぜかというと、都市対抗は会社全体のもので、一大イベントですから。それに対する責任感からピリピリする。そのなかで自分はまだレギュラーじゃないけど、メンバーに入っている。入っているからには責任がある、という意識がないと打てなかったと思います」

 神宮球場でNTT東京と対戦した、東京都第一代表決定戦。延長戦の末サヨナラ勝ちしたプリンスの選手は帰りのバスで祝杯をあげ、合宿所では食堂でビールかけが始まった。まだ18歳の小川は酒を飲めず見るだけだったが、この一体感はすごいと感じた。さらに大会前、西武球場(現・ベルーナドーム)での強化合宿練習では、会社全体の一体感を目の当たりにする。

【野球部以上にハードだった応援部】

「練習の合間に何気なくスタンドを見たら、応援部も練習してるんです。男子も女子もチアガールも、あの急な階段を走ったり、坂道ダッシュをしたり。それだけ体力をつけてるから、応援の動きにめちゃめちゃキレがあるんですね。やっぱり都市対抗は応援合戦でもありますから、会社をあげて力を入れているんだなと。応援部といっても、みんなホテルの仕事もあるわけなんで」

 応援部の主将は、85年から野球部マネージャーも兼任した本社管理部の太田秀和(元西武球団社長)。慶應義塾大時代に応援指導部副主将を務め、野球部発足時からプリンスの応援を指揮していた。それだけに80年の都市対抗初出場時から、大会の応援団コンクールで特別賞を受賞。「強化練習」の成果の証として86年に優秀賞、87年、89年と最優秀賞に輝いている。

「合宿所の庭でね、応援部と決起集会をすることもありました。『都市対抗、みんなで頑張りましょう』って。応援部もみんな日焼けして真っ黒だったので、それだけ応援の練習をしていたんだなってわかりますし。そういう姿を見ていますので、試合で一生懸命に応援してもらっているのを見たら、余計に勝たなアカンとプレッシャーを感じるんですよ」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る