斎藤佑樹のプロ1年目「この世界で勝つのは大変」と痛感させられたダルビッシュ有の衝撃 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 自信を持てなかったのも当然でした。名護キャンプで間近に見たダルビッシュ(有)さんがあまりにすごすぎたからです。プロの世界で勝つのは大変なことなんだなと痛感させられました

 僕はダルビッシュさんのピッチングを名護のブルペンの真後ろから見ていたんですが、速いのはもちろん、投げるボールが迫ってくる感じで、ものすごく大きく見えたんです。プロで活躍するピッチャーってこういうボールを投げるのかと驚かされました。

 同時に、そんなすごいダルさんでもその前のシーズンが12勝......そう考えると、僕はプロで2ケタ勝つと豪語してプロの世界へ入ってきましたが、「いやいや、プロで2ケタ勝つことって簡単じゃないんだな」と、今さらながら教えられた感じがしました。

【理想のパワーピッチャー】

 僕、それまでプロ野球をちゃんと見ていたわけではなかったので、じつはローテーションのこともよくわかっていなかったんです。僕が入った2011年の先発ローテーションの候補は、ダルビッシュさん、(武田)勝さん、(ボビー・)ケッペル、(ブライアン・)ウルフといて、それに続くのが左の八木(智哉)さん、右の糸数(敬作)さんでした。

 正直、ローテーションに入れるとも、入れないとも思っていなかった(苦笑)。自分の能力が開幕一軍のレベルに達していれば、何人目かなんて関係ないし、いずれは一軍で先発するレベルに達することだけを目指して努力するだけで、誰がライバルなのかという発想がそもそもなかったんです。結果、開幕ローテに入ろうが試合で勝とうが負けようが、それはあくまで次の話で、自分のレベルをもっともっと上げることだけを考えようと思っていました。

 ただ、葛藤もありました。ダルビッシュさんを見て、僕がプロでパワーピッチャーとして勝負したいなんて言っていいのかなと思ってしまったんです。僕は吉井(理人/当時のピッチングコーチ)さんに聞かれて、パワーピッチャーでいきたいと答えているんです。そうしたら吉井さん、「おお、いいやんか、それでいこうや」って言ってくれたんです(笑)。

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