阪神・佐藤輝明は「全然ダメ」なスイング 松永浩美が評価するのは、あの高卒4年目の左打者「進化していきそう」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • Photo by Sankei Visual

――軸足の使い方が最大の課題?

松永 そうですね。佐藤の場合はバッティングフォームというより、軸足の使い方が全然ダメです。いい例として、同じ左バッターのソフトバンクの柳田悠岐を挙げますが、柳田は右足を上げた時に股関節をグッと絞っていて、なおかつ、右の腰と左の腰の高さが同じになっています。

 一方の佐藤は、右足を上げた時に右の腰が少し上がってしまっているのですが、これは軸足の左足全体ではなく左足の"膝"に体重が乗っている証拠。つまり、上半身が浮いた感じになってしまっています。たぶん本人は、右足を上げてテイクバックをとる時に、体の中心が絞られている感覚がないと思いますよ。

 体の中心に力が集まらずに散っていってしまっているため、腹筋にも背筋にも力が入らない。その状態で打とうとしても難しいから腕を振るしかないんでしょうし、グリップの位置も高くないといけないんでしょうね。下半身と上半身を連動させた打ち方に改善していかないと、今後も苦しむと思います。せっかくいいものを持っているだけに、見ていて歯がゆいです。

――すぐに改善できるものなのでしょうか?

松永 私は自分の野球塾でよく子どもたちに、「頭でイメージしていることと、首から下の体の動きは別ものだよ」と言うんです。佐藤はその典型的な例。もしかしたら、本人は軸足に体重を乗せているつもりなのかもしれませんが、傍から見ればまったくできていません。相当に意識して練習をしていかないと、改善するのは難しいでしょうね。

――同じ阪神のドラフト1位ルーキー・森下 翔太選手も、今季2度目の出場登録選手抹消(6月9日)となるなど苦しんでいますが、どう見ていますか?

松永 トップを作るのが早く、その位置も悪くないです。だからボールを長く見られるでしょうし、タイミングの取り方もいいですね。遠心力もうまく使えているほうだと思います。ただ、トップの位置から振り出す時に、脇が開いて腕が伸びてしまっているので、アウトコースは対応できても、インコースをさばくのはきつそうに見えます。

 あと、バットは向かってくるボールの内側に入れることが理想ですが、今の打ち方だとボールの外側を打つ感じになっている。そうなると引っ張ることはできても、流すことはできません。打率.167と苦しんでいますが、打率を上げていくためには、いかにセンターから右方向に打っていけるかがポイントです。

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