山﨑武司がパ・リーグの若き強打者たちを診断 清宮幸太郎ら本格開花が待たれる3人の課題、一番「バランスが一番いい」のは? (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

【野村佑希(22歳/日本ハム)】

 前のふたりと比べると、バッテイングのバランスが一番いいのは野村ですね。彼のいいところは、バッテイングをすごくシンプルに考えているところ。来るボールに対して、バットをスムーズに出す素直なバッテイングをします。

 彼はトップを深く入れないけど、その分、打ちにいく時にすごくコンパクトにバットを振っている。一見、ホームランバッターには見えないコンパクトな振りなんだけど、振り上げる時のフォロースルーが大きいから、強く振っていないように見えてもボールは飛んでいく。要はインパクトが強いんですよ。本質的な部分では中距離打者に映るけど、体の強さからくるインパクトが印象的。彼はフィジカル面に大きな特徴があると見ています。

 清宮や安田と比べて、バッテイングの形が落ち着いている。型ができているから、今は打率が.2割前半くらいだけど、コツを掴んでくると3割も打てると思います。3人のなかでは現状、最も率を残しそうな選手ですね。大きく変えるところもないかな。

 中軸を任されることが多くてプレッシャーも大きいと思うけど、今のスタイルは崩さないほうがいい。とはいえ、4番を任されたりすると、どうしても大きいのを求められるし、そうすると体の開きが早くなります。

 肩や腰の開きが早くなってくると、小さなズレが生じてバッテイングの調子は落ちてくるし、その焦りや力みでバッティングフォームを崩すリスクがある。まだ若い選手だし、まずはシーズンを通して自分のスタイルで試合に出続けること。それができれば、自然と数字はついてくるんじゃないでしょうか。

(セ・リーグ編:巨人でオコエが元気な理由、阪神と中日の「右の大砲」の現状も語った>>)

【プロフィール】

山﨑武司(やまさき・たけし)

1968年11月7日、愛知県生まれ。86年ドラフトで中日から2位指名を受けて入団。96年、39本塁打を放ち初の本塁打王を獲得。02年オフ、平井正史とのトレードでオリックスに移籍。04年に戦力外通告を受けるも現役続行を決意し、新規参入の楽天に移籍。07年には43本塁打、108打点で二冠王に輝く。11年に楽天を戦力外となるも、中日と契約。13年に現役引退後は、解説者など活躍の場を広げている。

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