「あの子はここまでなのかな...」から高橋奎二は大きく成長。石川雅規らヤクルト投手陣が紡いだ物語 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 第1戦はプロ2年目、20歳の奥川恭伸がオリックスのエース・山本由伸と互角の投げ合いを演じ、第2戦は高橋が大舞台の緊張をものともせず完封勝利。第3戦、第4戦は苦しい時代を支えてきた小川と石川が経験豊かなピッチングでチームを勝利に呼び込んだ。

 石川は高橋などに惜しみない助言をしながら「奥川、高橋、(原)樹理といった若い選手たちの思いきりのいいピッチングは刺激になりました」と、自分の力にも変えてきたのだ。

 ヤクルトの3勝2敗で迎えた第6戦は、年齢的に中堅となった30歳の高梨裕稔が粘りのピッチングで試合をつくり、頼もしいリリーフ陣へとつないで、延長12回の劇的な勝利を演出。ヤクルトは2021年の新しい物語に、20年ぶり日本一という最高の結果を最後の1ページに書き加えたのだった。

 思い起こせば2年前の秋季キャンプで、高橋はこのようなことを口にしていた。

「僕ら若いもんが活躍して、石川さんや小川さんたちがビビるような存在になりたい。そうなればチームは強くなっていくでしょうし」

 来シーズン、ヤクルトの先発ローテーションはさらなる熾烈な争いが予想される。

「毎年毎年、うまくいかないと思いますが、今はちょっと休んで、体のケアをしっかりして、しっかり鍛えて、来年またいい状態でマウンドに上がれるように頑張りたい」(高橋)

 高津監督が理想とする高いレベルでの切磋琢磨が実現すれば、投手王国到来も夢の話ではない。2022年への物語はもう始まっている。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る