赤星憲広が残念がる阪神の実情。選手間の情報やりとりが「全然ない」 (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

──データの活用が重要になりますね。

「そのとおりです。常にデータを見ることで、『苦手なコースがなくなったら、今度は緩急を使うようになってきたな』『四球を出したくないから、苦しいカウントになったらこれを投げてくるな』という発見があるんです。僕は自分がランナーに出た時の、後続の打者に対する配球データもスコアラーさんにリクエストしました。盗塁のためでもありますが、それが別の形でも生かせたんです」

──「別の形」とは?

「僕が出塁すると極端に配球が変わることを、当時のチームメイトである関本(賢太郎)に伝えていました。『あの投手は、俺がランナーに出た時はこういう配球になる。盗塁の素振りだけするから、関本はこの球を狙ってくれ』といったように。そういった選手間のやりとりがチームに波及し、勝利に繋がっていきました。現在はどうなのかと、球団の関係者に『今のタイガースはどう?』と聞いてみたことがありますが、『そういったことは全然ないですね』と言っていましたね」

──今季のタイガースの打線も、そういった"繋がり"が物足りないように感じました。

「上本(博紀)がケガで5月に登録を抹消されてから、機動力も使えなくなってしまいました。2塁からワンヒットでホームに帰ってくるのが難しい選手が多かったので、バントのサインが出ていない時でも進塁打を打つ意識が大切なのですが......。追い込まれてサードゴロを打ち、ランナーを進められない場面が目立ちましたよね。これは采配以前の問題ですから、来年は自分でゲームメイクしながらプレーすることをより意識してほしいです」

(後編に続く)

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る