吉井理人×田口壮「今のルーキーは僕らの新人時代と決定的に違う」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

吉井 オレも入団した時、高校最後の試合からキャンプまで何もしなかったからプロの練習についていけなかったのを覚えてる。結局、自分の調子をつかむまで1年半ぐらいかかってしまったけど、最近の選手はそういうこともなく、高校生であってもきっちり体を仕上げてプロに入ってくる。藤浪も大谷(翔平)もそうやけど、自分がやるべきことをわかっている。さらに、自分の考えていることやプレイについてもしっかり分析して、自分の言葉で説明できるからすごいよな。

田口 あのふたりは受け答えがめちゃくちゃ立派!

吉井 自分の18、19歳の頃を考えると……。

田口 僕なんか鼻タレでしたよ(笑)。今の高校生のトップレベルというのは、そういうことなんでしょうね。心身ともに意識が高い。

―― 藤浪投手に対しては「高卒ルーキーにそこまで投げさせていいのか」という意見もありました。

吉井 1試合の球数が100球を超えたのはそれほど多くないですし、決して投げ過ぎだとは思いません。阪神はしっかり計画を立てて育てていると思います。それに、一軍の試合で実力を出せるピッチャーは、絶対に一軍で投げさせた方がいい。その方が、間違いなく成長のスピードが早い。

田口 一軍と二軍のバッターでは反応が全然違いますからね。藤浪にはまだまだ伸びしろを感じますし、ホント楽しみな存在。19歳でこれだけ投げられたらたいしたもんですよ。

吉井 この前、藤浪と話をする機会があったんやけど、自分のピッチングフォームについて事細かに説明してくれる。普段から、すごく勉強しているんやと思った。そういう姿勢って野球選手としてすごく大事だと思う。藤浪はピッチングに対する好奇心が旺盛で、もっとうまくなりたいという向上心を常に持っている。そういった部分で、ダルビッシュ有とすごく似ていると思う。

―― そして前半戦、二刀流挑戦で話題の中心だった大谷選手ですが。

田口 彼のプレイを見たら、両方とも伸ばしたくなりますよね。投手コーチだったら、「投手やろ」となるだろうし。 

吉井 なるわな(笑)。

田口 バッターとして見ると、あれだけきれいなフォームでホームランを打つんだから、僕が打撃コーチなら「こっち来いよ」って言いますね。

吉井 投手コーチと打撃コーチが取り合いになってしまうよな(笑)。

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