吉田正尚「ア・リーグ新人王レース」で一歩リード!ライバルは6人...不安要素は2003年・松井秀喜のパターンか (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【ライバル6人のデータ比較】

 現時点において、ア・リーグの新人王レースで先頭集団を形成しているのは、オホッピーを除くこの7人ではないだろうか。

吉田正尚(ボストン・レッドソックス/レフト/1年目)
31試合、打率.298、出塁率.377、OPS.873
6本塁打、24打点、2盗塁

ライアン・ノダ(オークランド・アスレチックス/一塁手/1年目)
36試合、打率.237、出塁率.423、OPS.864
3本塁打、10打点、1盗塁

ジョシュ・ヤン(テキサス・レンジャーズ/三塁手/2年目)
35試合、打率.252、出塁率.295、OPS.763
8本塁打、25打点、1盗塁

エステウリー・ルイーズ(オークランド・アスレチックス/センター/2年目)
39試合、打率.272、出塁率.329、OPS.680
0本塁打、16打点、17盗塁

アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース/遊撃手/1年目)
39試合、打率.199、出塁率.292、OPS.630
4本塁打、13打点、11盗塁

ハンター・ブラウン(ヒューストン・アストロズ/先発投手/2年目)
7登板、39.0イニング、3勝1敗、防御率3.23
奪三振率9.00、与四球率3.69

イェンニアー・カノー(ボルチモア・オリオールズ/リリーフ投手/2年目)
14登板、18.2イニング、3セーブ・6ホールド、防御率0.00
奪三振率10.61、与四球率0.00

 ほかには、吉田とチームメイトのトリスタン・カーサスが5本のホームランを打っている。ローガン・アレン(クリーブランド・ガーディアンズ)とブライス・ミラー(シアトル・マリナーズ)は、まだ3先発と2先発ながら、防御率2.70と防御率0.75だ。

 一方、福岡ソフトバンク・ホークス在籍中にキューバから亡命したオスカー・コラス(シカゴ・ホワイトソックス)は、打率.211と出塁率.265、1本塁打、OPS.541。結果を残すことができていない。

 投手とは比べにくいが、野手のなかでは、アベレージとパワーのどちらも優れる吉田が少しリードしているように思える。

 もっとも、吉田の場合、選考に際しては、不安材料もある。日本プロ野球で活躍していたため、真の意味におけるルーキーではないと見られる可能性も皆無ではない。2003年に松井秀喜(当時ニューヨーク・ヤンキース)が僅差で新人王を逃したのは、そう考えた記者がいたのも、要因のひとつだったのではないかと思われる。

 なお、吉田が新人王を受賞すれば、レッドソックスでは2007年のダスティン・ペドロイア以来となる。この年のア・リーグの新人王投票では、ペドロイアのほかにもふたり、レッドソックスの選手が票を得た。松坂大輔と岡島秀樹が、それぞれ4位と6位にランクインしている。

プロフィール

  • 宇根夏樹

    宇根夏樹 (うね・なつき)

    ベースボール・ライター。1968年8月14日生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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