投げるだけじゃない。メジャーが評価する前田健太の「多彩なウリ」 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 特にメジャーの舞台で強みとなるのが、「スライダー」と「チェンジアップ」です。前田投手は手首の角度を変えることで、スライダーを微妙に変化させることができます。スピードとボールの軌道を自在に操ることができるので、前田投手のスライダーはメジャーでもトップクラスと言えるでしょう。

 一方、チェンジアップも前田投手にとって欠かせない武器となります。20世紀の終わりに「1990年代のボール」として注目されて以降、数多くのピッチャーが多用してバッターを大いに苦しめているチェンジアップは、現代のメジャーにおいてもっとも有効な球種のひとつ。昨年オフにアリゾナ・ダイヤモンドバックスと6年総額2億650万ドル(約254億3000万円)で契約したザック・グレインキー、シアトル・マリナーズのエースとして君臨するフェリックス・ヘルナンデス、そして昨シーズンの奪三振王で「メジャー最強左腕」と称されるシカゴ・ホワイトソックスのクリス・セールなど、彼らはチェンジアップを駆使してゲームを支配しています。速球との落差の大きい前田投手のチェンジアップは、メジャー1年目から十分に通用すると思います。

 また、前田投手の高評価のひとつとして、「フォークやスプリットを投げない」という面もあります。古くは野茂英雄投手のフォークに始まり、今では田中投手や上原浩治投手のスプリットなど、日本人ピッチャーはフォークやスプリットを多投するイメージがあります。ただアメリカでは、それらの球種は「ひじに負担を強いて故障を招く」という印象が強く、あまり投球を奨励していません。

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