大阪桐蔭・前田悠伍がドラフト直前に胸中を吐露「夏の大会に負け、自分に対する評価も下がるだけ下がっただろうと...」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

── とはいえ、夏の大会開幕の1週間前にメディアに向けた公開練習があり、そこで30球ほどの投球を見たけど、球の力も制球も本調子には遠かった。正直、夏は厳しい戦いになるだろうと思いました。

前田 夏の大会までギリギリというか、開幕してからもいろんなことを試して調整していました。重心の位置とか、足を上げるタイミングとか、力の抜き具合とか。

── それだけしっくりこなかったと?

前田 そうですね。長めの距離のキャッチボールは、基本二段で投げることが多く問題ないんですけど、ブルペンで投げ時に一段と二段モーションのすり合わせがうまくいかなくて......その作業をずっとやっていたんですけど、なかなか難しかったですね。

── 二段モーションで投げたらいい球がいくのはわかっているけど、試合ではできない。相当なジレンマですね。

前田 ただ、それまでもやってきたことなので、作業自体はとくに難しいことをやっている感覚ではありませんでした。でも、しっくりこない。二段だと、足を上げたところで一度止まる動作があるんで、頭のなかではその動きをイメージしながら一段で表現するのが難しかったですね。いい時は、一段でもしっかりタメができる感じがあるんですけど。

【ドラフト1位でプロに行きたい】

── すり合わせの作業のなかで進んでいった大阪大会。初登板は4回戦(東海大仰星戦)で、2本のホームランを打たれました。ともにストレートで、ボールの威力も制球力も物足りなく映りました。さらに試合中、今度は右足親指の皮がめくれ、その後は一度もブルペンに入らず。夏の2戦目が、のちに西谷監督が「ほぼぶっつけ状態。それであそこまで投げたのは、試合には負けましたけど、さすが前田でした」と振り返った決勝の履正社戦です。

前田 履正社戦の前日のキャッチボールがよかったので、「この感じなら大丈夫」という感覚はありました。当日はキャッチャボールのあと、久しぶりにブルペンに入って、体の突っ込みを修正したり、いくつかの感覚をたしかめてから臨んだ試合でした。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る