日大三・針金侑良に甲子園で覚醒の予感 大型スラッガーは6月の香川遠征後に激変 (2ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 インターネットでヒントを探しているうちに、この練習方法にたどりついたという。

 最後の夏、西東京大会で針金のバットが火を噴いた。6試合で打率.500、9打点。準決勝、決勝でホームランを放ち、日大三の2年連続甲子園出場の立役者となった。

「西東京大会から一戦一戦、大事に、確実にと思いながら戦ってきました。結果的に甲子園に来ることができてよかったです。去年の夏、スタンドから応援しながら、『今のままじゃいけないな』と考えていたことを思い出します」

【初の甲子園で2安打の活躍】

 針金は初めてプレーする甲子園で、西東京大会で見せたとおりのパワフルなバッティングを披露した。社(兵庫)との1回戦、1打席目にレフト前ヒット、3打席目には左中間を破るツーベースを放った。

「西東京大会決勝を戦った神宮球場も観客が多かったんですけど、甲子園はまた違う雰囲気です。そこで2本ヒットを打ててうれしい。無理に引っ張っても打球は飛ばないので、ボールに逆らわず、アウトコースはレフト方向に打ち返すように心がけています。ツーベースは変化球だったんですが、引っ張らなかったので左中間に飛んでいってくれました」

 幼い頃から「三高の試合を見てきた」という針金の印象に残っているのは、2018年の先輩たちの姿だ。3回戦で龍谷大平安(京都)、準々決勝で下関国際(山口)も破ったが、準決勝で吉田輝星がエースの金足農業(秋田)に敗れた。

「子どもの頃からずっと、三高の試合を見ていました。そのユニフォームを着て、聖地と言われる場所でヒットを打ててよかった」

 1回戦で2安打完封をしたエースの安田虎汰郎をバットで盛り立てるつもりだ。

「安田が成長したところは変化球の精度ですね。変化球は絶対に低めに決まります。練習で対戦することがあるんですけど、あのチェンジアップを連投されたら打てません」

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