花巻東・佐々木麟太郎は新記録よりも究極の打撃を目指す「バッティングに正解はない。ベストを探っていきたい」 (3ページ目)

  • 佐々木亨●文・写真 text & photo Sasaki Toru

【清宮幸太郎の記録まであと5本】

 これまで積み重ねてきた本塁打数は、昨年秋の時点で「106」。早稲田実高時代の清宮幸太郎(現・日本ハム)が持つ高校通算本塁打記録(111本)にあと5本と迫っている。

 本塁打数は、打者としての資質を見極めるうえでひとつの判断材料になるし、放ってきた一つひとつのアーチにはそれぞれに価値がある。

 とはいえ、麟太郎は"記録"と戦っているわけではない。昨年最後の練習試合となった横浜隼人戦で、麟太郎は2本のアーチを放った。本塁打云々の話ではなく、いい形でシーズンを終えられたことに価値があったと、麟太郎は言う。

「秋の東北大会で負けてから、その時々でいいものを探りながら打撃を強化してきました。記録は意識しないなかで、いろいろと試したものが結果的にホームランにつながったことはよかったと思います。1本目はライトへ、2本目は左中間へ。もちろん完成形ではありませんが、ボールに対して無駄なくアジャストしていくことを考えていたなかで打ったホームランでした。打撃の引き出しが増えました」

 飛距離や勝負強さを含めて、自身が思い描く究極の打撃を求めていくことに変わりはない。麟太郎にとってのホームランとは、記録や数字に関係なく、打撃の状態を示すひとつのバロメーターでもある。

「このスイングをすれば、スタンドに入るんだ」

 そんな感覚を味わいながら、打撃を再確認できるものだという。

「ホームランだけでなく、凡打も含めて一つひとつの打席には感じるものがある」

 幼い頃から憧れていた花巻東のユニフォームを着て戦うラストシーズン。1年春から本塁打を量産して、必要以上にスポットライトを浴びた時期があった。夏には岩手大会で敗れ甲子園にはたどり着けず、その責任を一身に背負って苦しんだ時期もあった。その歩みのすべてを真正面から受け止める麟太郎は、高校最後のシーズンに向けてこう語る。

「最後は支えてもらっている人たちに結果で恩返しすることが大事だと思っています。夏の大会は勝ちきれていませんし、自分たちの代で夏の甲子園に行って、花巻東が築いてきた伝統を示したい。最後は最高の準備をしたうえで、納得できる打撃ができるように。

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