出雲駅伝で完敗の青学大は箱根で巻き返せるか 課題は「ゲームチェンジャーの不在」も総合力は厚みを増している (4ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【4年前は出雲5位から箱根優勝】

 そんな机上の空論はさておいて、調子のよし悪しの見極めが肝心となるが、区間数が増えるほど層の厚さは武器になる。もちろんそれだけでは勝つことはできない。あとは、ゲームチェンジャーとなりうるエース級の選手の台頭が待たれる。

 出雲の敗戦も、箱根や全日本を見据えれば無駄ではなかったはずだ。これまで三大駅伝の経験者は、出雲を走った佐藤と山内に加え、志貴勇斗(4年)、太田蒼生(3年)、白石光星(3年)、田中悠登(3年)、若林宏樹(3年)の7人しかいなかったが、今回で4人がプラスされた。ほろ苦いデビューになった者もいたが、膿を出せたとポジティブに捉えることもできる。

 収穫もあった。黒田の快走。そして、山内は1年時の全日本では6区9位で4人に抜かれ優勝争いから後退した経験があるが、今回の出雲でその失敗を脱却する走りを見せた。全日本と箱根でも当然キーマンになってきそうだ。

 史上初の2年連続三冠へ、駒澤大が順調に一歩目を踏みしめたが、青学大も黙ってはいないだろう。今回と同じく出雲が5位だった4年前のシーズンは、全日本で2位と巻き返し、箱根駅伝では2年ぶりの総合優勝を果たしている。その再現となるか。

プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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