東京国際大が箱根駅伝出場を逃した「転倒」以外の要因は? 各校の予選会の戦略を分析 (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato

【東京国際大の不運と準備不足】

 12位の駿河台大、13位の山梨学大、14位の東京国際大はいずれもケニア人留学生を擁するチーム。なかでも東京国際大は通過が有力視されていた。しかし、5000mと10000mで日本学生記録を持つリチャード・エティーリ(1年)が8.4㎞で転倒し、後半はペースが上がらなかった。

 この3校は留学生のタイムが明暗を分けた。駿河台大はスティーブン・レマイヤン(1年)が個人10位(1時間01分56秒)、山梨学大はジェームス・ムトゥク(2年)が同3位(1時間00分46秒)、東京国際大のエティーリは同12位(1時間02分11秒)だった。

 駿河台大は前回の予選会で個人54位(1時間04分04秒)だったムサンガ・ゴッドフリー(2年)も在籍するが、今回は9月に加入した1年生を起用。9月の日本インカレ1万mで4位に入ったレマイヤンが予選会でも好走して、2年ぶり2回目の出場を手にした。

 最後の1枠に滑り込んだ山梨学大は、「もっといい順位で通過したかったんですけど、ホッとしました。ムトゥクの頑張りでギリギリ通過できたと思います」と、飯島理彰監督は留学生の活躍を評価した。チームには日本インカレ1万m5位のビリアン・キピエゴン(1年)もいるが、前回個人4位(1時間02分15秒)だった先輩・ムトゥクが昨年の経験を生かした形だ。

 一方、僅差で7年連続8回目の出場を逃した東京国際大の横溝三郎監督は、「かなりショックはあります。エティーリも悔しいと思うし、3秒差ということを聞けば、もう少し、という気持ちもあるのでは......」と話していた。

 もちろん、エティーリが転倒しなければ結果は変わっていただろう。しかし、ロードの経験値がほとんどない選手だったことを考えると、指示の徹底が不足していたかもしれない。転倒したシーンを見返すと、エティーリが周りをキョロキョロと見渡しており、集中力を欠いているようにも見えた。また、エティーリにとっては中途半端なスピードが、脚の運びを狂わせた部分もあるように感じている。

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