箱根駅伝シード落ちからの復活へ。早稲田の主力が求める意識の変化「監督が代わって一時的によくなっても、強くなっていかない」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文・撮影 text & photo by Sato Shun

 伊藤、石塚ともに2年生に進級した。ルーキーイヤ―とは異なり、1年生を見つつ、主力としての走りも期待されることになる。

──2年生になってチームのなかでの取り組みや意識に変化はありましたか。

伊藤「一番変わったのは、チーム全体を俯瞰する機会が増えたことですね。チームの一員として、一歩引いて、今のチーム状況はどうなんだろうとか、キャプテンの(鈴木)創士さんがやろうとしている取り組みがチームのためにどう働くのだろうかとか、チームのことを考える機会がすごく増えて......。昨年は、まったくなかったんですけどね。1年生だし、先輩についていけばいいかって感じだったので」

石塚「自分も1年生の時は、練習についていくだけだったんですけど、今は僕も大志と同じように一歩引いてチームのことを考えられるようになりました。たとえば練習でも1年生の時は中盤にいて前にくっついていく感じだったんですけど、最近は大志が引っ張ってくれるので僕は最後尾につくことが多いんです。そこでみんなの走りを見て、この人、足痛そうだなとか、遅れそうな人がいたら『頑張れ』と声をかけたりすることを自分は意識しています。多分、僕らが上級生になった時、大志が主軸で僕がサポート役になると思うので、その構造を今のうちから作っていければと考えています」

伊藤「その影響か、昨年、Bチームで練習をこなせなかった選手がAチームで練習をこなせるようになっているのがすごい進歩。選手層が厚くなってきている手応えを感じます」

 6月には相楽豊から花田勝彦に監督がバトンタッチされた。花田監督は過去、上武大を率いて8年連続で予選会を突破し、箱根にチームを導いた。その後、GMOインターネットグループでは吉田祐也ら個のタレントを磨き、日本のトップレベルに押し上げた。監督が代わり、チームに変化が見えているのだろうか。

──監督交代で、どんな影響がありましたか。

伊藤「監督が代わること自体、好影響というか、大きかったですね。箱根でシード落ちして、仕切り直しをしてもう1回スタートしようとしたんですが、3月からケガ人が増えて、チームとしては停滞したままでした。そこに花田さんが来られて、心機一転スタートという雰囲気になった。練習の雰囲気も変わったし、メンタル的にリセットされたというか、主力選手に変化があったよね」

石塚「そうだね。特に、井川さんは監督が代わったからなのか、4年生になったからなのか、すごく変化しました。練習でも引っ張るし、前向きになったというか。すごいです」

伊藤「チームがいい方向に流れているのはよいことだと思います。ただ、個人的な考えで言えば、僕は監督の交代で改めて自分の意識や考え、自分のスタイルが大事だなって再認識しました。監督はアドバイスや練習メニューを提供してくれるけど、大事なのは選手がそれをどう考えやるのかということだと思うんです。そこを確認できたのは大きいですし、それをチーム全体でやっていかないと監督が代わって一時的によくなっても、強くなっていかないと思います」

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