安楽宙斗17歳、パリ五輪で1932年以来92年ぶりの快挙へ「実力を出しきれば、金メダルは獲れる」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro

【すべて勝ってパリ五輪まで突き進みたい】

 安楽選手にとってBJCは今大会で3度目の出場になるが、ユースからシニア転向した一昨年は33位。昨年は予選を1位で通過しながらも、準決勝はアテンプト(※)差で敗退し、6選手で争うファイナル行きを逃した。

※アテンプト=スタートを切ること。完登数が同じ場合は、完登した課題のアテンプト数が少ない選手が成績上位となる。

 昨年はボルダーW杯ソルトレイクで初優勝を遂げるなど、年間ランク1位。世界選手権でも日本人選手最上位のボルダー4位と実績を残しているものの、まだ国内ナンバー1の称号は手にしていない。

「そこへの意識もありますけど、やっぱりオフシーズンに高めた部分をしっかり出しきって、自信をつけたいっていうのがあります。目の前の1大会、1大会を常に全力で臨んで、すべて勝ってパリ五輪まで突き進みたいんですよね」

 リードでも昨シーズン初めて国際大会に参戦し、W杯は6戦3勝で年間1位。世界選手権でも2位。ただボルダーと同様に、LJCのシニア転向1年目は準決勝敗退の9位。昨年は予選・準決勝ともに1位通過しながらも、決勝戦ではムーブ(クライミング中の体の動かし方)に迷ったことが影響して、最終的には7位に沈んだ。

「去年は日本代表になる権利を獲得するのが目標で、それを達成できたことに満足しちゃったところはあったかもしれない。ですけど、単純にまだ力がなかっただけですよね。今は昨シーズンの大会での経験があって、オフシーズンに課題克服のトレーニングもやってきたので、勝てると思っています」

 ボルダーでの課題は、昨シーズン中も取り組んできたフィジカル強度の向上にあるという。

「国際大会を経験したら、単純にパワーが求められるガストン(内側に向いた縦型のホールドを親指を下にして持つこと)とかプッシュアップとか体幹を使う動きが弱かったので、そこを高めるようにしています。

 まだ不足していますけど、昨シーズンよりは力強くなった手応えはあります。そこをしっかり発揮して優勝し、4月からのワールドカップシーズンに臨みたいなと思っています」

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