女子ボートレーサー内山七海、目標のA1級へ日々成長中「1号艇のプレッシャーに負けそうになることもある」 (2ページ目)

  • キンマサタカ●取材・文 text by Kin Masataka

【一流レーサーの「勤勉さ」に驚き】

 そんな内山もデビュー3年目を迎えた。それまでの2年間は「何をやっても勝てる気がしなかった」というが、目標とすべき先輩たちの背中を追いかけ続けた。ライバルではあるが、尊敬する先輩もたくさんいた。

 平山智加との出会いは、内山の人生を変えたと言ってもいい。2児の母でもある平山は日本を代表する女子レーサーのひとりである。

内山は同じ斡旋の際に、勇気を出して話しかけたところ、調整方法や旋回に関する質問にも気さくに答えてくれたという。驚いたのは、その勤勉さだ。

「たとえばレース場ごとに、その時の天気や条件とかを全部記録しているんです。それを見返して、『この時期はこうだから、今はこうなる』という判断をしている。知識と経験、それを続ける継続力。そして常にレースのことを考えていることに驚きました」

 一流レーサーが一流たる理由を目の当たりにし、内山は奮い立った。

「平山さんに勝てるところが本当にひとつもなかったんです。そこで『下手くそなんだから、もっと頑張らないと』って思えた。あとは、同じ失敗を何度も繰り返しちゃダメだなって。どうせするなら新しいミスのほうがいい。私は失敗から学ぶので」

 今年6月の女子戦からだんだんと成績が上がってきた。大きな理由は苦手だったスタートを克服できるようになっていったことだ。

 今期の内山の平均スタートは0.18。(平山のデビュー3年目は0.19。現在は0.16)。スタートが安定したことで、第一ターンマークの旋回時に慌てず、周囲を見回す余裕ができたのだろう。動体視力と間隙を見つけて飛び込む瞬発力こそ、大学時代にスポーツに打ち込んだ内山の強みが生かされる瞬間。差し、まくり差しで勝ちを掴むことが増えた。

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