「ママ、笑ってないよ、毎日つらそう」学生結婚のち出産後に離婚...廣中れなはビキニフィットネスに挑むことで笑顔を取り戻した (2ページ目)

  • 武松佑季●取材・文 text by Takematsu Yuki
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【ジム通いを否定され...息子の言葉に離婚を決意】

 しかし、その憩いの時間も夫を含め家族に否定されてしまう。

「『子どもがいるんだから今はそういう時期じゃないだろう』『ジムで男と話す暇があったらその40分で子どものことをしろ』と言われてしまい......」

 廣中がトレーニングを日課とすることは理解されなかった。第2子を出産後も育児と家族からのプレッシャーで、消耗していく日々だった。

「奴隷のように毎日働いて、私の人生なんなんだろなって悩む時もありました。でも名字が一緒になった以上、使命感のようなものがあったし、離婚するわけにはいかなった。ひとりでやっていく自信もありませんでしたし」

学生結婚し卒業後すぐに出産した 写真/本人提供学生結婚し卒業後すぐに出産した 写真/本人提供この記事に関連する写真を見る そんな廣中の考えを変えたのは、当時5歳に成長していた長男だった。

「『ママ、最近笑ってないよ。毎日つらそう』って唐突に言われたんです。子どもから見てもそういうふうに見えると思うと......その言葉をさらっと流せなくて、決意しました」

 離婚を成立させた廣中は子どもふたりを連れて、実家の鳥取へ帰った。そして、ビキニフィットネスのためにストイックな日々を過ごしていく。しかし当然、彼女には母親としての顔もある。

「実家だったので親に子どもの送り迎えや面倒を見てもらえたからできたと思います。トレーニングができない人もいるなか私は環境に恵まれている。そこは本当に感謝ですね」

 当初こそ、廣中の両親もトレーニングには大反対。初参戦した2021年の「オールジャパン」で惨敗を喫した際も、「ちゃんとした職についてくれ」と懇願された。

 それでも「あと1年」という期限つきでチャンスをもらい、みごと、翌年の「オールジャパン」で2位に。両親も結果を出した廣中を「そこまで本気だとは思わなかった」と見直し、今では応援する側に回っている。

現在は鳥取から兵庫のジムへ通い、木下喜樹のパーソナルトレーニングを受けている現在は鳥取から兵庫のジムへ通い、木下喜樹のパーソナルトレーニングを受けているこの記事に関連する写真を見る

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