ロコ・ソラーレ吉田知那美の新連載「旦那さんのどんなところが好き?」と聞かれた彼女の答えは? (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

 その恭介と話していたのが、今回挙げた「『伝えた』と『伝わった』は違うよね」という言葉です。彼が参加したJOC主催のナショナルコーチアカデミー事業の『言語技術』という講座で出てきた言葉だそうです。

 例えばコミュニケーションにおいて、伝える側が「これを口に出した」という事実があったとしても、一方向のみの情報伝達では意味がないことが多いです。コミュニケーションは相互的であって初めてコミュニケーションになる。

 まず相手の気持ちや立場に寄り添うこと。その思いやりのステップを飛ばして自分だけの意見を「伝えた」としても、それは伝わっていないことのほうが多いです。

 何のために口に出したのか。確認をしたのか。両方向からの理解があって、初めて「伝わった」ことになる。スポーツでも恋愛でもそれは共通で、「そこは棲み分けて考えないといけないよね」という話をふたりでしました。

 そうやって考えてみると、「自分の気持ちが伝わった」「わかってもらった」っていうのは、コミュニケーションの一番根っこにある部分で、その積み重ねで人間関係は築かれるのかもしれません。「伝えた、伝わったの前に、伝えたい人の立場に立つ、思いやる」という思考習慣が素敵だな、私もどんな心理状況でもそれができるようになりたいなって、彼に出会って思えるようになりました。

 ただ、そんな夫も時に仕事上で伝わることよりも正しさを優先させてしまい、自身で発した言葉に反省している姿も見るので、夫婦ともども、まず相手の気持ちに対して言葉を尽くし、カーリングでも夫婦生活でも「伝わった」を意識しながら過ごしていこうと思います。

 ところで、選手活動はこれまでどおり「吉田」ですので、みなさま引き続きロコ・ソラーレと吉田知那美をよろしくお願いします。

吉田知那美(よしだ・ちなみ)
1991年7月26日生まれ。北海道北見市出身。幼少の頃からカーリングをはじめ、常呂中学校時代に日本選手権で3位になるなどして脚光を浴びる。2011年、北海道銀行フォルティウス(当時)入り。2014年ソチ五輪に出場し、5位入賞に貢献。その後、2014年6月にロコ ・ソラーレに加入。2016年世界選手権で準優勝という快挙を遂げると、2018年平昌五輪で銅メダル、2022年北京五輪で銀メダルを獲得した。2022年夏に結婚。趣味は料理で特技は食べっぷりと飲みっぷり。

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