りくりゅう「苦しいシーズンだった...」ネガティブになった木原龍一に三浦璃来がかけた言葉とは? (4ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【自分たちのイメージを変えていきたい】

ーーそして、フリーのプログラムを直前に2シーズン前の『Woman』に変更されましたね。

木原 今年はショートプログラムをシーズン途中で変更したので、どうしても2つのプログラムの滑り込みが足りない。それだったら滑り慣れている2シーズン前のフリーに戻して、滑り慣れてない分のショートにフォーカスしようかと。

三浦 うん。

ーー過去のプログラム再演するにあたり、昨シーズンのフリー(『Atlas: Two』)の方が振付けなどを思い出しやすいのではと思うんですけど、あえて2シーズン前のものにしたのはなぜですか?

三浦 昨シーズンのプログラムに戻す案も出ていましたが、コーチと話し合って、2年前の『Woman』のほうが私たちらしい滑りもできますし、ラストがアップテンポで終わるので、終わり方がすごく素敵だということで『Woman』に決まりました。

ーーたしかにあのラストは素敵ですよね。いろいろなことがあった世界選手権ですが、楽しかったことや学びになったことはありますか?

三浦 やはり先ほど話に出た四大陸選手権から世界選手権までの6週間の練習を、来シーズンのスタートから始めていけば、絶対結果もついてくるだろうというワクワク感が今はすごくあります。

木原 世界選手権は自分たちが自信を持って臨めた試合だったので、「自分たちの実力を見せるぞ」という楽しみはありました。やっぱり四大陸選手権の時はフリーをまだ2回しか通して練習できていない状態で、3回目が本番だったのでどうしても不安な思いが強かったんです。

 でも、世界選手権の時はリンクに立った時、自分たちには自信があるという思いを感じられました。自分たちが戻ってきたこと、自分たちの力をまた証明できると思えたので、ものすごく楽しかったなと思います。

ーー来季について計画していることなどがあれば教えてください。

木原 今はすべてが未定なのでどうなるかわかりませんが、今シーズンはプログラムを完成させることがほとんどできなかったので、来季に向けては今までと違うものをしっかりとつくり上げていきたいなと思います。技術的にトライしたいこともいろいろあるので、まずはケガをしっかり治したいですね。

ーー全然違うものというのはどんなものになりそうですか?

木原 自分たちのイメージを変えていきたいと考えています。今回、2シーズン前のフリーを滑ってみて、このオーダーが自分たちに合っていることが再確認できたので、オーダーは変更しないと思いますが、(演技面では)違うスパイスも必要かなと思っています。

後編<りくりゅうの関係性に変化? 木原龍一「だんだん尻に敷かれるように...」 三浦璃来「違う、違う(笑)」>を読む

【プロフィール】
三浦璃来&木原龍一 みうら・りく&きはら・りゅういち 
2001年兵庫県生まれで2015年にシングルからペア転向した三浦と、1992年愛知県生まれでソチ五輪、平昌五輪に出場した木原が2019年にペアを結成。2022−2023シーズンはグランプリファイナル、四大陸選手権、世界選手権で初優勝し、年間グランドスラムの偉業を達成。2023−2024シーズンは、3年連続で世界選手権の表彰台に上がる。カナダを拠点に活動中。木下グループ所属。

プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

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