本田真凜、全力演技で「恩返しをしたかった」語っていたスケーターとしての覚悟 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【悔いは何ひとつありません】

 しかし、本田はいつになく晴れやかな顔をしていた。

「今日(の演技)に関しては、ここをこうしていたら、というのはなくて。スッキリした気持ちです。ここまで頑張れたので、自分に対して言いたいことはないし、悔いは何ひとつありません」

 本田は両手でマイクを手に持って、大勢の記者の前で丁寧に話した。

「6分間(練習)の時から、たくさんの方にバナーを掲げていただいて、『真凜ちゃん、頑張れ』と声をかけてもらったり......。数年前の自分は、こんなたくさんの応援があることに気づけていませんでした。(気づいたからこそ)最後まで勇気を持って戦えたんだと。トリプル(サルコウ)を跳んでフィギュアスケーター、競技者として戦えたことを誇りに思っています」

この記事に関連する写真を見る 11歳にして5種類の3回転ジャンプを習得、音楽が鳴ったら即興で滑ることができた。感覚だけで、大概のことはできてしまった。それだけに世間では「天才・本田真凜のイメージ」が定着し、それに翻弄されてきた。

 だが、彼女はフィギュアスケートをやめなかった。9年連続で全日本にエントリー。派手に輝くメダルを期待されたのだろうが、それも立派なメダルだ。

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