坂本花織、三原舞依には不安要素も。全日本フィギュア女子は大混戦の様相で14歳の超新星にも勝機あり (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

【14歳の島田麻央が表彰台争いを演じる可能性も】

 さらに14歳の島田麻央(木下アカデミー)が全日本ジュニア連覇、ジュニアGPファイナル優勝を果たし、全日本選手権出場を決めている。初のシニア選手との戦いでどこまで通用するかも大いに注目される。

 島田は昨季、ノービスながら4回転トーループを成功し、シーズン終盤にはトリプルアクセルも成功。ジュニアGPシリーズ初参戦の今季は、フリーでトリプルアクセルと4回転トーループを入れた構成に挑戦。

 ジュニアGP2戦では4回転トーループはミスしたが、トリプルアクセルはしっかり降りて212.65点と217.68点で連勝。ジュニアGPファイナルではトリプルアクセルと4回転トーループはともにミスをしながらも、205.54点で優勝と安定感を見せている。

 11月の全日本ジュニア選手権では、「すごく緊張していた」と199.19点にとどまったが、トリプルアクセルと4回転トーループを入れた構成で、初めて4回転トーループを決めた。全日本へ向けては「ショートでトリプルアクセルを入れられるので、いい状態だったら入れたいです」と話した島田。上位がもたつくような展開になれば、一気に表彰台争いに食い込んでくる可能性もある。

 世界女王の坂本や、苦しい時期を経て精神的にも熟成した三原がしっかり結果を出すのか。それとも大混戦になり、ジュニアの島田が嵐を巻き起こすのか。今年の全日本選手権女子は、予想するのが難しい状況になっている。

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【著者プロフィール】
折山淑美 おりやま・としみ 
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、これまでに夏季・冬季合わせて16回の大会をリポートした。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追っている。

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