江川マリア、住吉りをん、渡辺倫果...全日本フィギュアへの期待も大きい3名の魅力 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

住吉りをんは4回転ジャンプに手応え

 シニア初挑戦となる住吉りをん(19歳、明治大学)は、将来を嘱望される。昨季はジュニア年代で出場した全日本で8位。次世代を担うスケーターだ。

2位に入った住吉りをん2位に入った住吉りをん しかし期待されるホープだけに、巨大な重圧も受ける。

「練習でできることを本番で出せていなくて。試合が怖くて、不安で足が動かなくなることがあります。自分でも、どうしたらいいかわからなくて」

 SP後、住吉は切実な表情で言った。54.55点で、5位に低迷した。

「シニアになって周りの応援も増えて、うれしさもありつつ、それに応えたい、という気持ちが強くなって。グランプリシリーズの出場権ももらっているので、自分で自分にプレッシャーをかけているのかもしれません。フリーでは、一個目に4T(4回転トーループ)を組み込み、試合でも練習と同じように体をもっていけたら」

 必死にもがく住吉は、フリーで力の片鱗を見せた。冒頭の4回転は転倒になったが、その気概が次のジャンプにつながった。3回転ループ、3回転フリップ+3回転トーループ、3回転ルッツを次々に成功。後半のダブルアクセル+3回転トーループ、3回転フリップ+2回転トーループ+2回転ループも鮮やかに決めた。最後のサルコウで転倒も、コレオは気品に満ち、レベル4のスピンは圧巻だった。

 120.89点で2位、トータルでも175.44点と2位に追い上げた。

「4Tは転びましたが、練習と同じ感覚でした。気持ちより、技術向上の問題で。そこまでいけたのは収穫でした。成功しなくちゃ、よりも、伸び伸び滑れるように」

 住吉は着地点を見つけるはずだ。

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