いじめで不登校、無視したとケンカを売られ...耳の聞こえない女性がプロボクサーになるまで「臆病者だから、強くなりたかった」 (3ページ目)

  • 泊 貴洋●取材・文 text by Takahiro Tomari
  • 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

【いじめに遭い、荒れた10代】

 恵子さんは1979年、埼玉県生まれ。3歳になっても言葉を話さないため病院で検査を受けたところ、聴覚障がいが発覚。ほとんど音を聞き取ることができなかった。

 小学校は、普通学級に通学。仲のいい友達もできたが、4年生からいじめっ子の標的となった。中学校に入ると、美術部で絵やマンガを描くことに没頭。将来は漫画家かイラストレーターになりたいと夢見ていたものの、またいじめが始まり、最終的には不登校になる。

 高校は、ろう学校に進学。手話で周囲と話せる楽しさを感じる一方で、それまでため込んでいた感情を吐き出せるようになり、教師や親に反抗的態度をとるように。教師に暴力をふるったり、椅子を投げて校舎の窓ガラスを割ったりして、何度も停学処分を受けた。

「こんなに暴れてしまうのは、エネルギーがあり余っているからかもしれない」と考え、2年生から始めたのが、ジョギングや筋トレだった。毎日続けているうちに体を動かすことが快感になり、精神状態も落ち着いてきたという。

この記事に関連する写真を見る

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る