いきなりヒョードルから名指しで対戦。石井慧が向かい続けてきた過度の期待に「異様にハードルが高かった」 (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

――過去に戦ったことがあるミルコさん(2014年に2度対戦して連敗)に辿り着いた経緯は?

「僕に勝ったあと、彼はUFCでも勝ってRIZINでも連勝して。それを見ていて、『一度練習に行かせてください』と自分からお願いしました」

――練習環境は?

「ミルコの自宅の地下にジムがあって、そこで練習しています。チーム・クロコップにはトレーナーが何人かいて、ミルコからも直接指導してもらいますよ」

――ミルコから言われて印象的な言葉はありますか?

「『ダイヤモンドの原石だから、磨けばまた輝く』みたいなことを言ってくれました。クロアチア人はすごくポジティブ。ミルコも現役時代、周りがネガティブなことを言うことをかなり嫌うほどだったそうです。

 僕がクロアチアに行ったのが2017年で、その前に3連敗していました。精神的にけっこうしんどかった時です。周りから何度も『もっとこうしないとダメだ』とか、ネガティブな言葉ばかりかけられて......。観葉植物でも、ずっとネガティブな言葉を浴びせ続けると枯れると聞いたことがありますですけど、まさにあれですね」

――石井選手は、周りの意見をあまり気にしないイメージが勝手にあるんですが、そんなことはない?

「SNSなどで不特定多数の人に悪口を言われてもまったく気にしないんですけど、近い人に言われると嫌ですね」

「ミルコのジムは練習時間が長い」

――ミルコさんといえば、一撃必殺の左ハイキック。それを教わることもあるんですか?

「そうですね。ミルコ曰く、カギは左ミドルらしいです。左ミドルをレバーに入れて、それがあるから左ハイも当たると」

――クロアチアの食事はどうですか?

「今までアメリカ、オランダ、クロアチアと行ったんですけど、クロアチアが一番好きです。なんでもあるんですが、養殖マグロが有名なんですよ。日本も、クロアチアから養殖マグロを輸入することが多いんです。向こうでは、マグロを安く買えますよ」

――石井選手は、柔道の強豪、国士舘大学出身。上下関係は相当厳しかったんじゃないですか?

「国士館は、強かったら大丈夫なんです(笑)。僕は高校3年生の時にオリンピック予選とかで優勝していたので、大学に入学した時は、ある程度は居場所がありました。先生には厳しく指導いただきましたけど、そこまで厳格な上下関係はない感じでしたね」

――柔道の五輪金メダリストになるまでの練習量と厳しさは想像を絶するほどだったと思います。それと比べて総合の練習はどうでしたか?

「確かに、柔道の組みだけの練習は長くできますが、打撃があるかないかで感じる長さが違いますね。ミルコのジムでの練習は、メチャクチャ長く感じます(笑)」

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