福澤達哉が春高バレーで感じた「勝てるチーム」の変化。代表入りも期待の207cmミドルブロッカーなど注目選手も語った (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

【0-2と追い込まれた駿台学園が作った「転換点」】

――福澤さんは今年の春高で解説を務めましたが、特に激闘になった、駿台学園高校(東京)と鎮西高校(熊本)の決勝はいかがでしたか?

福澤:まさに先ほど話したように、エースが一枚いるだけじゃ勝てない時代になったことを象徴する試合でした。駿台学園がセットカウント0-2のビハインドから逆転しての優勝。鎮西は、前回大会の日本航空高校(山梨)との決勝も2セットを先に取りながら逆転負けしていますが、結果は同じでも、そこまでの展開は違いましたね。

――どんなところが違ったんでしょうか。

福澤:昨年に優勝した日本航空は非常にチーム力が高く、つなぎの部分がすごくよかった。追い込まれても焦らず我慢して、自分たちのバレーボールをすることを徹底していました。そのうちに鎮西が疲弊していって、流れを掴んでいった。鎮西のエースである舛本颯真選手(182cm)も2年生でしたからね。

 日本航空はやることを変えませんでしたが、今年の駿台学園は試合中に戦略を変えたんです。3セット目に1年生の川野琢磨選手(192cm)を入れたのをはじめ、調子がよかった舛本選手に対しては、リベロ的な役割も果たしていた亀岡聖成選手(2年/180cm)のポジショニングもよくなり、うまくレシーブできるようになった。そこは(VリーグのNECレッドロケッツでアナリストを務めていた)梅川大介監督のさすがの采配でしたね。

――戦術で勝利を手繰り寄せたんですね。

福澤:前日に行なわれた、東山高校(京都)と鎮西の準決勝では、東山の尾藤大輝選手(2年/187cm)のライトからのスパイクがよく決まっていました。駿台学園もそれを参考にしたのか、最初はライトを多用していましたね。でも、早々にその攻撃は封じられてしまって、鎮西の展開になっていった。でも、3セット目から投入された1年生の川野選手が、交代前の選手よりも高さがあり、かつ速いテンポでライトから打つようになった。

 試合には「転換点」がありますが、昨年の日本航空は流れ込んできたものを掴んだのに対し、今年の駿台学園は自分たちから転換点を作りにいった。僕も解説をしながら、「代表レベルの戦術論を話さないといけないな」と思っていました。先ほど、エースがいて組織力があるチームが勝つようになってきたと話しましたが、さらにデータとそれに基づいた戦術面も高めないといけないという、また新たなステージに突入したように感じました。

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