今の大坂なおみを元ウインブルドン女王はどう見たのか? 「筋力が足りず、体も重い。課題はリターン」 (3ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

── 大坂選手のコーチのウィム・フィセッテ氏について、あなたはたびたび言及されています。彼は評判のよい指導者ですが、どのようなコーチだと感じていますか?

「実はちょうど、テレビ番組用に1時間ほどウィムにインタビューをしたので、彼の考えについても言及してきました。それに私は、現役の時に『相手選手のコーチ』という形で彼とも対戦してきましたからね(笑)。特に(優勝した2013年の)ウインブルドン決勝で対戦した時のサビーネ・リシキ(ドイツ)のコーチでしたから、彼についてはよく知っています。

 ウィムは非常に経験豊富なコーチで、たくさんの選手を指導してきました。そして何より重要なのは、なおみの直近のコーチだったことです。彼は『ベストの時のなおみ』を知っている。これは選手にとって、非常に心強いことです。

 今、自分がどこにいるのかを正確に示してくれる。ベストの時に比べて、20%足りないのか、25%なのか? 選手が最も不安に感じるのはその点なので、その部分について信用できるコーチの存在は、非常に大きなものです。コーチの立場からしても、選手の何ができて、ピークはどこにあるかを知っていることで、指導もしやすくなります。

 それにウィムは、データを使うことに長けています。それも選手にとって安心材料です。数字を示して『ここが足りないから改善しよう』と言われたら、理解しやすい。感覚的なことを言われるよりも、コートに向かい、厳しく練習やトレーニングに打ち込むうえで、モチベーションにもなります。

 なおみの目標は非常に高いと思うので、そこに到達するには多くの練習や努力が必要になります。今回のドーハでの結果(準々決勝敗退)は、非常に大きな意味を持つと思います。自信を得てアメリカに戻り、十分な準備期間を経てインディアンウェルズ(BNPパリバオープン)とマイアミオープンという、彼女が得意としている大会に向かうことができますから。

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