「雪の早明戦」など数々の名勝負を生んだラグビー早明戦 かつて国立に6万人を集めた伝統の一戦にルーキーは「鳥肌が立った」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【5勝1敗同士の対決。対抗戦2位となるのは?】

 「(早明戦と言えば)やっぱり、雪の早明戦でしょう。私は当時中学生で、家で見ていました。憧れて明治大に進学しました」

 自身も選手として活躍し、対抗戦の早明戦は3勝1敗だった明治大の神鳥裕之監督はそう懐古する。

 彼らスーパー1年生たちは3年後の1990年、対抗戦の優勝をかけた一戦が早明戦で、結果24-24と引き分けて同点優勝となった(この年度は大学選手権でも再戦して明治大が16-13で優勝)。この4年間は早明戦、そして大学ラグビーが最も盛り上がりを見せた時期だった。

 1990年代は明治大が優勢だったが、2000年代となって早稲田大に清宮克幸監督が就任すると、両者の立場は逆転した。そんななか、よく覚えているのが2008年の一戦だ。

 明治大はすでに対抗戦2勝4敗で、大学選手権出場を逃し、早明戦がそのシーズンのラストゲームとなった。早稲田大は前年に71-7で明治大に大勝しており、下馬評も圧倒的な不利。そんな状況のなか、明治大が24-22で9年ぶりに早稲田大に勝利した。紫紺のプライドを大いに見せた戦いで、PR土井貴弘(現・グリーンロケッツ東葛)らの涙は忘れることができない。

 国立競技場の改修で2014年からは秩父宮ラグビー場で戦っていた両者が、2022年から再び新しい国立競技場での開催に戻っている。99回目の今年はともに対抗戦5勝1敗で3位と2位。勝利したほうが対抗戦2位で大学選手権に臨むという一戦だ。

 選手時代の早明戦は4戦全勝だった早稲田大OBの大田尾竜彦監督は、試合前に「早明戦と歴史と絡めて、コンタクトが重要になってくる」と選手たちに説いた。

 一方、明治大の神鳥監督は「早明戦の価値や今まで先輩たちが積み上げてきたものを感じて戦ってほしい。僕も含めて早明戦を見て明治に来た選手が多いので、今、自分たちが子どもたちにとってそういう対象になっている。それを試合中のしんどいときに感じて、1秒、1メートルのがんばりに変えて戦ってほしい」と選手を送り出した。

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