李承信は大学中退→バイト生活からラグビー日本代表へ「1ミリも後悔していない」競技人生 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

── 社会人1年目の2021年、トップリーグ最後のシーズンは5試合の出場にとどまりました。20歳でいきなり日本のトップレベルの強度は、やはり慣れていない部分も?

「1年目はそうですね、今は(強度に)慣れましたけど、最初は『本当に自分がここでプレーしていいのか?』と思っていたし、受け身でもありました。でも、そのなかで一瞬、一瞬、今やるべきことをやろうと決めていたので、それが今にもつながっていると思います」

── プロ2シーズン目のリーグワン元年では、神戸スティーラーズの主力として10番や12番で13試合に出場。飛躍できたきっかけは何かあったのですか?

「1年目が終わったあとのオフシーズンに、フィジカル面をしっかり追いこみました。あと、いろんなラグビーの試合映像を見て『10番として、どうやって自分の強みを活かせるだろう』と研究しました。

 1年目はプロ意識も低く、大学生の延長気分でいた部分もあり、プロが何かもわかっていませんでした。それを反省して、先輩からオフシーズンの過ごし方を聞いたり、トレーニングメニューを組んでもらったことで、いろいろ変われたと思います」

── その結果、リーグワンでの活躍が目にとまり、日本代表にも初招集されました。

「神戸で成長できたことが、何よりも大きいと感じています。日本代表のコーチ陣からは、練習に取り組む姿勢なども評価していただいたと思っています」

── 日本代表活動を経たことで、さらに大きく成長を実感しているのでは?

「10番としての経験をどんどん積めているので、試合中の余裕というか、スペースに対しての時間や余裕が出てきているのかな。やっぱり慣れの部分も大きいと思います」

── ワールドカップ開幕まで残り2カ月。今の心境は?

「ワクワクという気持ちより、今は焦りのほうが強いですね。リーグワンでケガ(眼窩底骨折)もありましたし、ほかの10番の選手もリーグ戦ですごくいいプレーをしていましたし。経験値ではやっぱり(松田)力也さんに劣る部分があるので、今は経験が必要だと感じています」

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