稲垣啓太は復帰後も笑わない。日本代表に厳しい意見「これじゃオールブラックスに勝てない」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

課題は後半20分以降の守備

 9月からの大分・宮崎合宿、そしてオーストラリアA代表との3連戦、ジョセフHCは「チームを作る時期」と語る。そしてこれからのテストマッチ3連戦は、来年のワールドカップに向けて基礎・基盤を作る「ベースキャンプとなる」と選手たちに話したという。

 日本代表キャップ42を誇る稲垣は、豊かな国際経験を踏まえてこう語った。

「選手たち全員が(今秋の合宿と強化試合が)2023年ワールドカップに向けて『ベースキャンプ』になっているということは理解しています。ちゃんと段階を踏んでいると思う。来年に向けて自分たちの現在地を理解し、それをならしていくのが(今の)明確な目標。選手は結果を出さないといけない。

 ただ、コーチがいいプランを出しても、やるのは選手。まだまだ遂行できていない。それをやれている時はいいラグビーができているのだが、ディテール(詳細)やクオリティ(質)が損なわれると失点を許している」

 オーストラリアA代表との3試合すべて、後半20分以降、簡単に失点したことが勝敗を難しくしていた。稲垣はディフェンス面での課題を指摘する。

「今回(3戦目)のような打ち合いの試合はよくないですよね。これだけ点を取ったのに、どうして点を取られるのか。これじゃオールブラックスに勝てない。今日出た課題をチームとして修正していかないと。日本代表は得点する能力があるが、要所でしっかりと(守備で)シャットアウトしないといけない」

 前回の2019年ワールドカップまでの道のりを振り返ると、日本代表が格上相手に勝利したのは、大会直前のフィジー代表戦のみだった。長期間の強化合宿を経てワールドカップまで徐々に強くなっていった、という成功体験が稲垣にはある。

「時間をかけてチームをよくするのは、日本代表の独自の文化だと思います。ほかの国のテストマッチ(での戦いは)シンプルです。ただ、僕らがシンプルなラグビーをしてしまうと、フィジカルで負けてしまう。自分たちの弱みを認めたうえで、どこでチャンスを作るのか。その深いところまでの理解は、集まってすぐの選手や新しい選手には難しい」

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