平野美宇か伊藤美誠か? 混戦の女子卓球パリ五輪選考争い サバイバル最終局面のカギは? (3ページ目)

  • 井本佳孝 取材・文 text byImoto Yoshitaka
  • photo by 千葉 格/アフロ

【張本美和が見せた可能性】

 準々決勝の台湾戦、準決勝の韓国戦と重要な2試合で、早田、平野に次ぐ3番手を任されていずれも勝利。決勝の中国戦では、東京五輪団体金メダルメンバーの王曼昱(ワンマンユ)相手に1ゲームを奪う、堂々たる戦いぶりを披露。また、木原美悠と組んだダブルスでも、準々決勝で孫穎莎と王曼昱という世界卓球連覇の"最強ペア"を撃破する金星を挙げ、銅メダルを獲得するなど存在感を示した。

 日進月歩で成長を続ける15歳は、アジア大会という大舞台で中国のトップ相手にも戦える姿を証明した。シングルスの選考ポイントは6位で、2位の平野、3位の伊藤と差はあるが(アジア大会終了時点で、3位の伊藤と183ポイント差の226.5ポイント)、団体戦への抜擢の可能性など、今大会で残した鮮烈な印象がメンバー選考に影響するかもしれない。

 今後のポイント対象大会は、11月に大阪で開催される第6回の選考会と、来年1月の全日本卓球選手権の2つ。加えて、シングルスの1勝で2ポイント、ビクトリーマッチの1勝で1ポイントが加算されるTリーグ(2023年12月末まで)と、国際大会の個人種目での「中国トップ3選手」相手の勝利(7ゲームマッチの1勝につき15ポイント、5ゲームマッチの1勝につき10ポイントが加算。期間は2023年1月30日~2024年1月21日)もポイントに関わってくる。

 平野と伊藤の差を考えると、残り2つとなった対象大会での上位進出はもちろん、Tリーグでの勝利や国際大会での中国勢相手のポイント奪取も最終的には重要になるだろう。アジア選手権、アジア大会で中断していたTリーグも再開され、その間に行なわれるWTT主催大会もポイント加算の可能性がある。切れ目がなく続いていくこの消耗戦をいかに戦っていくのか。特に11月の選考会と、来年1月の全日本選手権に向けたコンディションは最終結果に響いてくるだろう。

 およそ2年という長丁場で続いてきたパリ五輪の選考レースも、来年1月に向けていよいよクライマックス。五輪初出場が濃厚なエース早田に続く存在として、平野と伊藤のどちらがシングルスの2番手に最終的に入るのか。ここからは同級生2人による抜きつ抜かれつの戦いが最大の注目となる。

 果たして、ここからの数カ月でどのような展開が訪れ、最終メンバー決定へと向かっていくのか。パリ行きをかけたサバイバルが最終局面へと突入する。

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