「1対1ならアメリカ人に絶対負けない」NFLを目指す21歳、元アマ横綱のモチベーションは「大谷翔平超え」 (5ページ目)

  • 永塚和志●取材・文・撮影 text & photo by Kaz Nagatsuka

「僕は相撲という感情を出しちゃいけない競技をずっとやってきたので、怒るようなこともないというか、慣れていないというか......。

 イラッとするようなダーティープレーもあると思いますし、感情をむき出しにするのがアメフトなので、そこの切り替えもちゃんとしなきゃいけないなと。メンタルでは絶対に負けないっていう強い意志を持っていかなきゃと思います」

── やられても引かないぞ、という気持ちですね。

「そのスタンスは持っておくべきだと思っています。ただ、日本人なので『侍魂』は持っておきたいなと。やり返すとかじゃなく、日本人の誇りを持って挑みたいなと思っています」

── NFLでは日本人選手が誕生しておらず、競技自体も日本ではマイナーな存在です。自分が行くことでアメフトやNFLの魅力を伝えたいという気持ちもありますか?

「日本ではマイナースポーツですが、NFLがどれだけすごいかっていうのを、まだみんな知らないと思います。NFLに挑んだことのある河口正史さんや栗原崇さんなどがそれを伝えようとしてくれていましたけど、僕も日本を熱くしたいです」

── 最近は大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)などグローバルな活躍を見せる日本人選手が増えています。意識はしますか?

「サッカーの久保建英選手(レアル・ソシエダ)や佐々木朗希選手(千葉ロッテマリーンズ)は同い年なので、そういう人たちが活躍しているのを見ているとすごく悔しいし、ジェラシーじゃないですけど『僕も負けてられない』っていう気持ちが出てきます。

 大谷選手は人間としても、野球選手としてもすごく尊敬していて、彼に関する本も読んだりしています。大谷選手は僕が今、一番尊敬しているスポーツ選手ですね。

 でももし僕がNFL選手になったら、アメリカのスポーツではアメフトのほうが人気は上なので、超えられるというか。そういう目標も、僕のモチベーションだったりします」


【profile】
花田秀虎(はなだ・ひでとら)
2001年10月30日生まれ、和歌山県和歌山市出身。小学2年時から相撲を始める。和歌山商高では1年時に全国高校選抜大会・個人戦で優勝。2年・3年時には世界ジュニア選手権の無差別級で2連覇を果たす。日体大に進学後の2020年、全日本相撲選手権で優勝して「アマチュア横綱」となる。大学1年での優勝は1984年の久嶋啓太(元・久島海)以来36年ぶりふたり目。現在、日体大を休学してアメフトNFL選手を目指している。185cm、130kg。

プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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